──00:00 Studioはどんなサービスなのですか?

「作業中を配信する」というコンセプトのライブ配信サービスです。漫画家さんが作画を配信したり、ハンドメイド作家の方が作品を創っている様子が配信されています。

──けんすうさんはほかにもマンガ情報共有サービス「アル」、デジタルデータ販売サービス「elu」を手がけられている文字通りの起業家ですが、やはり新しいサービスを多くの人に知ってもらうためにSNSをずっと使い続けているのでしょうか?

事業のためにSNSを使っているというよりも、もともと発信するのが好きだからやっている感じですね。いまFacebookで「アル開発室」という有料のオンラインコミュニティをやっていて、毎日3000字くらいの文章を投稿しているんですが、それでも抑えているぐらいなんです。ツイートも一日30回くらいしていますが、これも情報発信のためにやっているというより、投稿を我慢してこの数、という感じです。なので、我慢できなかったぶんが投稿されているという感じなんですよ。

ですから、「いまはSNSをやっていないけど起業するために頑張って始めよう」、という人がいても、SNSでの情報発信はあまりおすすめしていません。発信が苦手な人が無理して何かを発信しようとするのは大変だと思います。

古川氏は「アル開発室」の原稿を投稿する様子も「00:00 Studio」で配信
古川氏は「アル開発室」の原稿を投稿する様子も「00:00 Studio」で配信している

──確かに。そういうひとは苦手な発信に力を注ぐより、そもそもの事業を頑張ったほうがいいですよね。

おっしゃる通りです。逆に言うと、発信できなかったからといって落ち込む必要はないということです。SNSを流入元にしたいのであれば、自分が発信をする以外にもやり方はあるので、そのへんも併せて考えるといいのではと思います。

インターネットで横のつながりが広がった

──けんすうさんがインターネットで情報発信を始めたのは高校1年生のときだそうですが、なぜ始めたんですか?

それまではマスメディアしか情報発信できなかったのに、高校生でも自分のアイデアや考えたことを人に伝えられるという体験がめちゃくちゃおもしろく、感動しました。当時はSNSや日記サービスもなく、交流したければ自分でホームページをつくって掲示板を設置するほうが手っ取り早かったので、自らサービスづくりをはじめました。

──起業をしたかったのではなくて、「ネットでコミュニケーションできるってすごい」というところから入っているんですね。

そうです。僕は「起業家になりたい」と思ったことはたぶんないです。起業仲間も1社目をやめるまではいませんでした。