確かライブドアにサービスが事業譲渡された後くらいに、SNSができて、そこではじめて起業家との横のつながりができました。

当時の象徴的な出来事としては、2004年に友達がGREEやmixiなどをつかって素人を集めてつくった「劇団ブサイコロジカル。」を手伝ったことです。当時はSNSで知らない人同士がつながって劇団を立ち上げるということがすごく珍しかったんです。ポッドキャスティングや劇団員のブログを公開して情報発信し、スポンサーを募って費用を集めたりしました。ショートムービーをつくってYouTubeで流したり。今だと当たり前だと思うかもしれませんが、そのころは珍しくて話題になり、公演も成功しました。

──けんすうさんは自らサービスをつくっている側ですが、ご自身もそこに可能性を感じて楽しんでいて、みんなにも楽しんでほしいと思っているんですね。

はい。プラットフォームというか、そういうみんなで楽しめる場所をつくるのは好きですね。

サービスの過程を見せて顧客を巻き込む

──ご自身の起業、事業に対してどういうふうにSNSを生かしているかをお聞きしたいと思います。いま重要視しているSNSのこだわりの使い方は?

起業ということで言うと、最近よくnoteに「未来こうなると思ってます、いまこういうのつくってます」という投稿をすることが多いです。予測を書いた上で「こういうのつくってます」と発信すると、読んでいるひとが「これどうなるんだろう」と継続的に気にしてくれたりするので。

──いわゆる「プロセスエコノミー」ですね。サービスの過程を見てもらってみんなを巻き込んでいくという。

はい。いかにも宣伝の投稿ってあんまり読まれないので。あとは、SNSをやっている人はほぼ全員が自分の宣伝をしたいとか投稿を見てもらいたいと思っているので、そこを刺激してあげるほうがいいなと考えています。去年、「#私を構成する5つのマンガ」というハッシュタグをはやらせたんですが、これは「私」を入れることでみんなが自分語りをしたくなるところがポイントです。

また、僕のブログやnoteも、「自分がモヤモヤ考えていたことを言語化してくれた」という感じで紹介されることがすごく多いんです。自分自身の考えを発信するというよりは、みんなが思っていることを代弁しているというような書き方にすると、結果的に読んでもらえるのではと思います。コミュニティサービスにしろ起業にしろ、お客さん目線に立つことが一番大事なので。