「プレミアム感のあるtoCプロダクトはtoBでも収益化できる」

今回の資金調達で、新たに投資家として参加したインフォコムとは、業務上の提携も進めていくというBeatFit。最近では電子コミックプラットフォームの「めちゃコミック」事業の躍進が目立つインフォコムだが、ITサービス事業ではヘルスケア領域への投資も進めており、企業の健康経営サポートサービス「WELSA」を提供する。BeatFitのアプリをソリューションの1つとして、相互にサービスの紹介や協業を行っていく考えだ。

またツクイキャピタルは、介護事業を営むツクイホールディングスのグループ会社として、BeatFitの健康増進プロダクトに期待を寄せている。介護予防市場、シニアへのアプローチを検討しているBeatFitとシナジーが合致したかたちだ。

宮崎氏は「アプリ運営で蓄積したデータを活用して、適切なソリューションをソフトウェア、コンテンツ、コミュニティー、マーケティングといった、行動変容のためのサービスとして提供するのが我々の価値。その中で次に進出するとしたら、今のアプリと似たような価値を提供できる介護や医療リハビリ等の領域ではないかと考えています」と話す。

「BeatFitというプロダウトひとつで、売り上げ100億円を目指すのは簡単ではないという現実が、良くも悪くも分かってきた。BtoBにかじを切ったことで腰を据えてビジネスはできるものの、天井が低くなったというのは事実」という宮崎氏は、BtoBモデルへリソースを割く一方で、BtoCプロダクトの価値についても、以下のように述べている。

「プレミアム感のあるtoCプロダクトは、toBでも収益化できます。比較的高額なサブスクリプションがユーザーから一定の支持を得ていることが、法人向けにも価値になるというサイクルはあり得る。toCのプロダクトを今後どこまで伸ばすかというジャッジは必要だし、今ここで過度な投資はしません。ただ、直近で撤退せずにきちんとBeatFitを運営し、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値、1顧客から得られる売り上げの総額)も2.5倍に伸ばしたという自負もあります。もう一度(toCに)投資する機会があれば、また違った世界が見えると考えています」(宮崎氏)