「バーチャルグッズ」はメタバース内でのデジタルなコマースを実現すること。現在でもアバター課金などが実現されているゲームも登場しているが、将来的にはNFTといったものを絡めて、唯一無二の商品を流通させる考えがあるようだ。

「自然なインターフェース」は最終的にはコントローラーなどなしに手の動きやジェスチャーだけで、デバイスをつけていることを忘れているかのような感覚で操作ができるというものだ。

専用のコントローラーを使わずとも、センサーで手の動きを感知し、操作できるようにする──Oculusはここ数年でその開発に力を入れており、すでに「ハンドジェスチャー」という機能として追加されつつある。

Metaが定義したメタバースの中になかったものをあえて上げると、例えば大規模オンラインゲームのような広大なVR世界を提供するといったものは含まれていない。MetaはユーザーがVR世界を構築し、自由に集まって遊べる「Horizon Worlds」を発表しているが、正式リリースは遅延し続けている。まだまだ開発に苦戦しているようで、サービス全体の中核となるには時間がかかりそうだ。

そもそも、Quest 2の性能の限界もあり、表現できる領域には限界がある。本当に自由な創造性が発揮できるようになるためには、将来的なハードの世代交代が必須ではあるだろう。

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どこまでが「実現可能」なのかわかりにくい未来映像

これらの多くのものは、開発中の技術も含め過去に発表してきている技術の延長線上にあるものだった。今回の講演は、それぞれの機能を未来の物語仕立てにして紹介していたため、メッセージはわかりやすかったものの、現在の技術で可能なことと、未来でなければ実現できないこととが混在して紹介されているためわかりにくい部分もあった。

ほとんどの映像で、登場人物は、メタバースにアクセスしているが、VRデバイスやARグラスといったハードウェアをつけずに素顔のまま登場する。

「デバイスを最終的に付けていることを気にすることもなくなり、ホログラフになる」とザッカーバーグ氏は述べた。Metaはデバイスをつけている事自体を意識しない環境が最終目標になっているとはいえ、現実には実現がかなり難しい印象を受けた。そのため、どこまでが本当に実現可能とみているのかが正直わかりにくかった。

もちろん、提示したビジョンを達成するためには、まだまだ技術的に不確かな部分が数多くあることはザッカーバーグ氏も述べてはいた。とはいえ、解決策のない未来像の提示に違和感があったのは事実だ。