メタバースの接頭語として、あまりにもよく知られている「メタ」を社名に選んだことに相当な大胆さと、並々ならない気合が感じられた。
Facebookというサービス名称は残り続けるものの、その上位概念がMetaとなる。これまでVRデバイスのブランド名だったOculusは、来年にはMetaに置き換わる。Oculus Quest 2という製品名が来年には「Meta Quest 2」といった名称に変更されることも合わせて発表された。
実は手堅い内容のMetaの定義するメタバース
ザッカーバーグ氏がこだわるメタバースとは何か。今年、メタバースという単語はIT業界を中心にバズワード化しており、参入を表明する企業も次々に現れている。ただ、各社によってメタバースの定義が異なるという状況で、業界内で共通する定義は存在していない。
あえて広い意味での定義を考えるならば、2Dが中心だった既存のSNSから、3Dを中心とした次世代のSNSという程度の意味だろう。多様に広がった定義の中で、どこのサービスが生き残るのかというのは、まだ明確ではない。
ザッカーバーグ氏が定義するメタバースもまた普遍的な回答ではない。あくまで、Metaの考えるメタバースだ。講演の中では、8つの基本的な概念として定義していた。
Metaの定義するメタバースの基本的な概念
- 実在感
- アバター
- ホームスペース
- テレポート
- 相互運用性
- プライバシーと安全性
- バーチャルグッズ
- 自然なインターフェース
実はこれまでのOculusが行ってきた技術的な拡張から考えると、かなり手堅い内容でもある。例えば、「実在感」はVRやARの技術革新の重要な要素として、ザッカーバーグ氏が繰り返し強調している。
「アバター」は、VR内でのミーティングスペースである「Horizon Workrooms」に自分の分身を登場させるコア機能としてリリース済みだ。これが将来的には更に写真から撮ったような精巧なアバターを表示したり、ゲームに出てくるようなキャラクターを表示させてカードゲームやコンサートに参加したりという未来像を見せていた。
「テレポート」は任意のVR世界にブラウザ上のリンクをたどっていくぐらい気軽に別の世界に切り替えられる機能のことを指す。「相互運用性」はアプリケーションを超えて共通するアバターやアイテムといったものを利用することを可能にするプロトコルなどの必要性のことだ。すでに、Oculusはアバターについては、どのゲームでも使用できるような開発環境をゲームメーカーに提供し始めている。
「プライバシーと安全性」はMetaがFacebookとして批判を受けてきた課題をメタバースでは、サービス展開に合わせて、きちんと確保するという宣言だ。