モビリティや物流領域での活用が進む
what3wordsでは3つの単語を入力するだけで住所を指定できる。従来の住所を入力するよりも簡単だ。そのため自動車メーカーに重宝されており、各社のカーナビゲーションシステムに導入されている。what3wordsのマネタイズ手段は、法人向けの課金だ。企業がwhat3wordsを組み込んだシステムを開発した際、そのシステム上での検索1回につき一定の金額を同社に支払うかたちだ。
最初に目をつけた自動車メーカーはメルセデス・ベンツだった。2019年には「A-Class」や「B-Class」、「Sprinter」などの一部車種で、what3wordsを使った目的地の音声入力が可能となった。
以降も自動車メーカーとの連携が続いた。フォードやロータス・カーズ、そして直近では三菱自動車がwhat3wordsを導入。三菱自動車は2020年12月に発売開始したSUV(Sports Utility Vehicle)の「エクリプス クロス」でwhat3wordsを使用可能にした。
高級スポーツカーメーカーのランボルギーニも今後、「Huracan(ウラカン)」という車種にwhat3wordsを搭載予定だ。
![ランボルギーニの「Huracan」に導入予定のカーナビゲーションシステム](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/6/d/-/img_6d601d219aef333cd1168496597e02af279290.jpg)
シェルドリック氏は「エクリプス クロスはアウトドアを楽しむためのSUVです。そのためオフラインでもwhat3wordsを使えるようにしました。またランボルギーニのドライバーの多くはVIP。what3wordsを搭載することで、例えばイベント会場の“関係者入口”に迷わず到着することが可能です」と話す。
![what3words CEOのクリス・シェルドリック氏](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/9/8/-/img_98827b886ddea04126626ae2119150471214610.jpg)
コロナ禍でのEC需要拡大で利用が加速
配送事業者の「Hermes」や日用品のデリバリーサービス「Weezy」もwhat3wordsを導入している。シェルドリック氏は「デリバリーサービスは10〜20分で商品を届けることをウリにしています。配達先の部屋を探すのに20分かかってしまっては間に合わない。そこでwhat3wordsが力を発揮するのです」と述べる。またデリバリーサービスがwhat3wordsを導入することで、「例えば公園でピクニックやバーベキューをしている場所を指定することができる」とも同氏は言う。
2020年12月にはイギリスの郵便事業者であるRoyal Mailがwhat3wordsを用いたドローン配達の実証実験を開始するなど、活用の幅が広がっている状況だ。
シェルドリック氏によると、2020年以降、新型コロナウイルスの感染拡大が引き金となり、what3wordsの利用は急伸した。外出自粛によってEC需要が拡大し、それに伴ってwhat3wordsの利用者も増えたのだ。2020年4月から8月にかけて、全世界での利用数は430パーセント増加したという。