コロナ禍の影響も大きい。ロックダウンの環境は多くの企業がDXを進める契機となり、また多くのサービスがオンラインへのシフトを余儀なくされた。米LinkedInによると、ソフトウェア/IT業界における求人数はコロナ禍が始まる以前と比べて、119%増加したと報告されている。

Karatが目を付けたエンジニア採用の「バーニングニーズ」

こうしたエンジニア採用に対する深刻なニーズに目を付けたのが、2014年創業の米Karat(カラット)だ。今年10月に行われた直近のシリーズCラウンドでは、Tiger Global等から1.1億ドル(約115億円)調達し、バリュエーションは11億ドル(約1254億円)となり、ユニコーンの仲間入りを果たした。

Karatが提供するのは、いわゆる「面接代行サービス」だ。

彼らが目を付けたのは、企業にとって負担は大きいが実入りの小さい、採用候補者のスクリーニング。同社の試算によれば、企業は自社のエンジニアのリソースのうち年間で600億ドル(約6兆8493億円)に相当する時間を、新規採用の面接に投入しているという。

それにもかかわらず、面接による採用候補絞り込みの成果は小さい。面接官によってクオリティのばらつきがある上、複数回の面接を行わなければ候補者の適性を正しく理解できないのに、時間をかければかけるほど他の会社に人材を横取りされる可能性も高くなる。企業は、Karatのサービスを利用することで、これらの課題を解決することができる。

Karatは世界中に広がる面接官ネットワークを駆使して、企業のエンジニアに対するテクニカルインタビューを代行する。

画像出典:Karatウェブサイト
画像出典:Karatウェブサイト

面接官はすべて、面接における質疑応答や客観的な評価に熟達した経験豊富なエンジニアから選ばれ、365日24時間オンラインでの面接対応が可能だ。

Karatはスケジューリングから面接の代行、コーディングテストの実施、評価までを一貫して引き受け、蓄積したデータを活用することで候補者間の比較やベンチマーキング、能力のスコアリングを行う。これによって、企業側は自社のリソースを使うことなく、精度の高い採用を行うことができるようになる。

Karatによると、顧客企業はサービスを利用することで従来よりも採用にかかる時間を4分の1に、面接回数を3分の1にすることができるという。

実際に、同社の顧客には求人サービスのIndeedのほか、不動産テックのCompass、カード会社のAmerican Express、フィンテック企業のRobinhood、ゲームプラットフォーム・Robloxなどの有名企業が名を連ねる。