ferret Oneのイメージ
 

コロナ禍で広がった“デジタルセールス”のニーズに対応

当初は幅広い企業を対象としていたが、2018年に顧客の利用状況や成果などのデータを踏まえて「BtoB企業向けに絞りこんだ」ことで成長角度が上がった。それをさらに加速させたのが、コロナ禍でのセールス活動の変化だ。

今ではデジタルツールを駆使しながら、オンラインで営業活動をすることも珍しくなくなった。ferret One自体も「一度も対面で会うことなく受注につながる」ことが日常茶飯事だ。

買い手側の企業の意識が変化し、とりあえず営業担当者に会うのではなく、ウェブ上で情報収集をして“ある程度、目星をつけた状態”で商談に進むのが普通になった。つまり「セールスのプロセスの手前に、空中戦のマーケティングが入ってくるようになった」(秋山氏)のだ。

特にこれまで営業力をウリにしていたような企業の中には、ウェブマーケティングと連動した“デジタルセールス”のノウハウを持っておらず、課題を抱えているところも多い。そのような企業からの引き合いが増え、累計の導入企業数は1000社を突破。月によって多少の違いはあれど、MRRも前年同月比で毎月200%近い成長を継続しているという。

hubspotやCloud CIRCUSなど用途によっては競合しうるサービスもいくつか存在するものの、秋山氏によると「1番比較されるのは制作会社」だ。顧客自身も具体的に何をすべきかがわからない中で、まずはユーザーとの接点となるサイト制作から始めるケースが多い。

その点、ferret Oneであればノーコードでサイトが作れるほか、サイトが完成した後のマーケティングに必要なツールも1箇所に揃っている。ベーシックが培ってきたノウハウもセットで提供してもらえる点が好評で、顧客に選ばれる理由にもなっているという。

フォーム作成管理ツール「formrun」も累計で10万ユーザーを超えた。同サービスはM&Aを通じて2017年より運営
フォーム作成管理ツール「formrun」も累計で10万ユーザーを超えた。同サービスはM&Aを通じて2017年より運営

起業家としての礎を作ったパチプロ時代の学び

秋山氏は高校卒業後に“パチプロ”として生計を立てていたという、スタートアップの起業家としては異色の経歴の持ち主でもある。パチンコと経営、領域はまったく異なるものの、起業家人生を振り返ってもパチンコから学んだことは多いと話す。

たとえば感情や欲望を始めとした「人間への理解を深めることの重要さ」や「データに基づく意思決定の大切さ」もそうだ。

当時の秋山氏はパチンコの勝率を上げるために何度も“問い”を重ねた。勝つためにはそもそも良い台を見つける必要があり、そのためには良い店を探し当てなければならない。望む結果を手繰り寄せるために必要な行動を分析し続けることで、自分なりの勝ち筋が見えるようになっていった。