世の中的にもそういう会社でなければ優秀な人材が採用できない、というようなトレンドチェンジが起こっていることも認識できました。

  • 2022年のトレンド予測

(自分の詳しい領域以外はトレンドを予測するのもおこがましいので、自身の事業領域のみにとどめます)

電子帳簿保存法の対応です。これは全事業者に影響します。その割には認知度が低いのでぜひ「電子帳簿保存法」で検索してみてください。

ビジネストレンドでは、「箱型SaaS」から「手続き型SaaS」への移行が進みそうです。データ化・データ保存を行う箱型SaaSは一巡し、ML(機械学習)とSaaSの融合、FintechとSaaSの融合が起こります。より深い業務や手続き的業務の効率化(手続き型SaaS)の成長が顕著になるでしょう。AIベンダーはSaaS企業に、SaaS企業はFintech企業にリブランディングする1年になるでしょう。それにより根本的に優位性の作り方が変わり、ビジネスモデルの変化が起こります。既存SaaS企業と新興SaaS企業の中での大きな順位変動が、実はこの時に起こり始めていた、となる1年になるでしょう。

BtoBプロダクトの作り方も大きく変わり、BtoB、BtoCといった区切りは意味がなくなり「すべての企業がtoC化」します。その最初のトレンドとしてPLG(Product Led Growth、製品主導の成長)型の企業の成長率が大きく上がることになると思います。

福田恵里氏 / SHE代表取締役CEO

  • 2021年の振り返り

2021年はESG、SDGs、D&Iなどのサステナビリティやダイバーシティを表すキーワードがより一層活発に聞かれるようになったと思います。

特にESG投資やソーシャルインパクト投資に関しては、この1年で海外からの流れを受け、日本国内の投資家の温度感にもかなり変化を感じました。スタートアップの起業家やベンチャーキャピタリストが集まる招待制カンファレンス・IVSのピッチコンテスト「LAUNCHPAD」で優勝した際、多くの審査員の人たちが言っていましたが、社会的意義だけではなく、経済合理性としても成り立つ、その両方を叶えるビジネスを実現することがこれからのインクルーシブな社会に絶対に必要であるという風潮に、業界全体の流れが変わってきつつあります。

実際にキャシー松井さんたちが率いるMpowerなど、ESG投資に特化したファンドが国内で出てきたのも今年の印象的な出来事でした。

また上記の変化に伴い、「パーパス経営」という概念も盛り上がりを見せました。気候変動、ジェンダーギャップなど社会課題が溢れる今、企業のパーパス(=社会的存在意義)が、より強く問われるようになっており、従来の資本主義・利益至上主義システムの緩やかな衰退を感じるような年でもあったと思います。