DVされたホストが
女性客にDVする悪循環

 太客の女性が店で大金を使った後は、彼女と担当ホストにジンさんら新人ホスト、内勤も含め、外に飲みに行くこともあった。ジンさんが酔っても、内勤は酒を勧めてくるし、「次の店に行くぞ!」と容赦ない。アルコールハラスメントという概念が存在しない世界だった。

 ホストクラブでは、新人ホストらが閉店後の店舗掃除を担っている。「内勤さんは、僕らのことを掃除要員としか認識してなかったですね」。ジンさんの率直な感想だ。

 ジンさんら同じ境遇のホストたちは外に飲みに出ては、内勤のこうした態度を仲間内で非難した。こうしたガス抜きをしても、精神的に滅入ってしまうホストもいた。

 乗り越えようとするホストたちは、「内勤に機嫌よく接してもらうためにも、何としても売り上げを出そう」と考えるようになった。

 毎日、出勤した先でビクビクしながら過ごすのは嫌だ。ナンバー入りホストと同じような扱いを受けたい。そのためには、どんな手口を使っても構わない……。ジンさんは、新人ホストがこうなることを分かって、内勤があえてDV的態度を取っているとする。

「売上最優先の思考」に追い込まれた新人ホストらは、内勤を見習ってDV的な手法を女性客に使うことを考える。自分に気があるとにらんだ女性を見つけると、24時間つながれる態勢を整える。内勤とは店で毎日会うが、女性とはそうはいかないことから、LINEで文章を送り、頻繁に電話を掛ける。

 相手の寂しさを埋め、精神的に依存させる。そして、優しく接しつつ、いきなりキレたり、威圧的な態度に出たりする。あえてモラハラな面を出していくと、女性はホストの顔色を伺うようになる。もちろん、必要に応じて枕営業もするし暴力も交える。