女性客2人を「風俗に堕としました」

 ジンさんの店には、二桁人数のホストが在籍していたが、こうしたDV的手法を駆使していたのは、半数ほどいた。

「『DV』をやっているホストのほうが勢いがありました。『DV』は稼げるのです」

 ジンさん自身は、「『DV』を継続するのはエネルギーを使うし、自分には向いていない」と実行しなかった。確かに、穏やかな雰囲気を漂わせるジンさんが、女性に暴力を振るったり、暴言を吐いたりする姿は想像できない。

 そんなジンさんでも、女性客2人を「風俗に堕としました」と告白した。ホストになった後、ジンさんは売り上げを上げるべく、閉店後に歌舞伎町内でのナンパに励んだ。その2人は、別々に路上で知り合った。1人はフリーターで、1人は大学生だった。

 LINEを小まめに送っていると、来店するようになった。彼女たちは、他のホストクラブにも通っていた。あるとき、話をしてみると、お金が続かなくなったことから、2人はともに「夜職」についていた。

 ホストクラブ内では、女性客の職業を聞くことは、ホストの禁止行為である「爆弾」の一つとされる。それでも自ら口にする女性もいるし、売上に直結することから担当ホストは把握済みだ。また、雰囲気から察せられることも多い。

 ジンさんは、働いていたホストクラブXの女性客は、風俗関係の「夜職」7割、自営業・専門職・会社員などの「昼職」2割、残る1割を不明と分類。このうち、夜職の多くがデリバリーヘルスなどで肉体的接客のある「ガチ風俗」とした。

 お酒をあおるように飲むことに限界を感じ、ジンさんはホストを辞めた。

 今回、リスクがある中でホストクラブの実態を証言したのは、悪質ホスト問題で社会的な関心が集まるからだ。

「女性とお酒を飲むだけでお金をもらえて美味しいと、ホストの仕事を勘違いしている若い男性は多いかもしれない。僕もそうだったけど、それで業界に入ると危ない」

「新人ホストもよほど容姿に恵まれるなどしない限りは、全ての女性と同じく搾取される側です。内勤の『DV』でホスト脳になり、お金第一にならないとやっていけない。そんな世界だと、知ってもらいたいです」