【悪質ホスト】警察と消費者庁の「本気」答弁を引き出した塩村あやか議員が感じた「風向きの変化」「ホスト業界の自浄作用に期待したい」という塩村あやか氏、その真意は? 撮影:石橋素幸

若い女性を風俗店勤務に追い込む「悪質ホスト」問題を国会で取り上げた立憲民主党の塩村あやか氏。消費者庁から「売掛は取り消しうる可能性がある」、国家公安委員長から「常識的に考えて問題」という答弁を引き出し、多くのメディアに報じられた。塩村氏は、なぜ国会では異例の「ホスト」をテーマに取り上げたのか。解決に向けてどのような取り組みをしていくのか。単独インタビューで詳しく話を聞いた。

ーー国会でホストに関する議論が展開されるのは、極めて異例です。テーマとした理由は?

新型コロナウイルスが流行していた頃から、パパ活やいわゆる「立ちんぼ」と呼ばれている女性達、梅毒の問題を取り上げてきました。歌舞伎町や新宿のニュースは、目に入ってきます。今回の悪質ホスト問題も、その延長線上と言えますね。

10月に入ると、歌舞伎町の大久保公園周辺で、売春防止法違反容疑で35人の女性が逮捕されたとの報道が出ました。そのうち約4割が、ホストクラブやコンカフェ(コンセプトカフェ)などに通うために客待ちをしていたと言います。その割合の高さに驚きました。ホストの世界はきらびやかだと分かっていたけど、どうも問題が悪質だと思い始めた。

さらに質疑テーマを決める直前、新人ホスト研修の内容を明らかにした記事を目にしました。そこで、女性をマインドコントロール下に置くために、「鎖をかける」や「地雷をおく」といった具体的な手口がホストの間で共有されていることを知りました。女の子が売掛を背負わされるのは個人の問題というより、スキーム(枠組み)ができあがっていることが問題なのだと分かりました。それが国会での質問に至る決定打となりました。

ーー質疑では、消費者庁からホストクラブでの売掛は「デート商法で取り消しうる可能性があると考える」との答弁を引き出しました。

法案審議などの際、役所は「ポンチ絵」と呼ばれる図表入りの資料を作ります。デート商法の絵を見ると、まさに悪質ホストの手口に当てはまっている。もっと早く気づいても良かったぐらいです。

省庁の担当者は、法律が適用できるかどうかに自信がない消極的なときは、中身のない答弁でその場をやり過ごすもの。今回のようにはっきりとは答弁しません。「デート商法として契約が取り消せるから、ちゃんと使ってください」という消費者庁による意思表示だと捉えています。

以前に取り組んだAV出演強要問題の時とは大きく異なり、迅速な答弁でした。