プーチン大統領Photo:Contributor/gettyimages

ウクライナ戦争が想定外の
長期化となったワケ

 ロシアによるウクライナ侵攻で始まったウクライナ戦争は、短期決戦になるとの大方の予想に反し長期化しており、現在も激しい戦闘が続いている。ロシア軍の想定よりウクライナ軍の反撃が激しく、ロシアが短期間にウクライナの首都キーウを制圧できなかったことに加え、NATO等によるウクライナへの軍事面をはじめとする各種支援により、ウクライナとロシアの軍事力が概ね拮抗し、どちらも優勢となっていないことがある。

 またウクライナとしては、ロシアと停戦したとしても再侵攻されるリスクが高いため、欧米諸国からの支援が続く限りは領土奪還のための戦いを続けざるを得ない。しかし欧米諸国は、ロシアの核兵器使用などへのエスカレート化に対する警戒感から、ロシア軍を凌駕するまでの軍事支援に慎重である。

 そしてプーチン露大統領は、自身が仕掛けた戦争であることから、小国ウクライナに対して十分な戦果なしに停戦するわけにはいかない。ロシアでは24年3月に大統領選を控えており、プーチン大統領は出馬を表明している。プーチン大統領としては、大統領選までに目立った戦果を挙げるか、少なくとも劣勢との印象を国民に与えたくない。これらの要素もウクライナ戦争の長期化の背景となっている。