共働き家庭の一般化や、少子化が進んだ昨今。子どもに無関心過ぎる親、過放任な親、過保護・過干渉な親が散見される一方、下の子や老親の世話、手伝いの範疇を超えた家事労働を強要する親が目につく。こうしたケースの中には、親の意識の有無にかかわらず、「子どもは親の所有物」と勘違いしている場合もある。「あなたは子どもの子どもたる時間や居場所を奪っていませんか」。今回は、30代女性の子ども時代の実体験を取材した。(ライター・グラフィックデザイナー 旦木瑞穂)
過干渉で内弁慶な母親
東北出身、関東在住の眉根千尋さん(仮名 30代 既婚)の両親は、父親が29歳、母親が22歳のときに知人の紹介で結婚。翌年母親は眉根さんを出産、3年後に妹を出産した。
保険会社に勤める父親は大人しい性格で、縫製会社に勤めていた母親は内弁慶だった。初対面の人と話すのが苦手な母親は、勧誘電話もすぐには断れないほど内向的だったが、自分の親や妹弟、夫や娘たちには感情的になることが多々あり、特に眉根さんには過干渉だった。
常に成績優秀でないと許さないと言われ、小学校低学年の頃は宿題で一問でも間違うと罵詈雑言の嵐。そのせいで眉根さんが消極的な性格になると、「もっと明るく振る舞え!」「クラスの人気者にならないと許さない!」と言い始めた。