「市場調査のため、Beyond MeatやImpossible Foodsの代替肉を使用したハンバーガーをひたすら食べました。ですが味は正直、美味しくありませんでした」(逆井氏)
Beyond MeatやImpossible Foodsが製造する代替肉には、食肉の味を再現するために多くの添加物が使用されている。逆井氏はその人工的な味に違和感を感じたのだという。
健康や環境への意識が高く、流行に敏感なフレッシュネスバーガーの顧客に「代替肉は必ず響く」。そう確信していた逆井氏は帰国後、世界中から代替肉を取り寄せた。
米国、イスラエル、フランス、日本など、さまざまな国の企業が製造する代替肉を10種類ほど試食。結果、「これだ」と思い採用したのは日本のスタートアップDAIZが製造する大豆由来の代替肉だった。
「独特の癖がある代替肉が多いなか、DAIZのものが一番美味しく、味が決め手になりました。食感も、硬かったり、柔らかかったり、さまざまな代替肉がありましたが、DAIZのものは食感も表現が完璧でした。ほのかに残る大豆の香りも、日本人には間違いなく受け入れられると確信すると共に、代替肉に慣れ親しんでいるであろう外国人観光客にも、“日本らしい代替肉”として提供できるのは良いなと思いました」(逆井氏)
特許技術で食肉の食感・風味に近づけた発芽大豆が原料
フレッシュネスバーガーが採用した代替肉を製造するのは、熊本発のスタートアップ・DAIZだ。2015年設立の同社は、“大豆だけ”を使用した代替肉原料を開発し製造する。
大豆由来の代替肉は大豆搾油後の残渣物を主原料としているものが多く、DAIZがいうには、味と食感に残る違和感、大豆特有の青臭さや油臭さ、肉に見劣りする汎用性の低さなど、まだまだ課題が残る。同社は独自の特許技術で上記課題を解決し、人々が心から“美味しい”と思える代替肉を開発することで、本格的な普及を下支えしたいと考えている。
独自の特許技術とは、DAIZ最高技術責任者の落合孝次氏が発明し、大豆の食感や風味を本物の食肉に近づける「落合式ハイプレッシャー法」だ。
豆の発芽中に、酸素、二酸化炭素、温度、そして水分などを調整し、あえて厳しい生育条件にしてプレッシャーを与えることで酵素が活性化、遊離アミノ酸量が増加し、大豆のうま味を引き出す。また独自の膨化成形技術により、他の原料や添加物を何も足さずに肉のような食感を再現している。
原料には「穀物の大豆」ではなく、芽を出してアミノ酸、ビタミン、ミネラルが急激に増加した、「植物になった瞬間の発芽大豆」を使用。大豆のアミノ酸組成を変えることで、豚肉に近い味、魚肉に近い味、牛肉に近い味、といった具合に味の調整を行うことができるという。