「もともと私はグループ会社に入社して、おもに中国から家電を仕入れて、日本向けに仕様やデザインを変えてドン・キホーテや家電量販店などへ卸す仕事や、クレーンゲーム機の景品を開発する仕事を担当していました。ですが、ある日上司から『新しい家電ブランドを立ち上げる』と言われ、社長を任されることになったんです」(山氏)
社員は営業7人、貿易担当者4人、日本向けに商品のアレンジやパッケージ制作を手掛けるデザイナーが3人のほかは事務だけという小さなチーム。だが元大手家電メーカー出身の社員もおり、中国の家電製造工場と協力して日本向けに販売する仕事を何年も手掛けてある程度ノウハウも蓄積していたため、勝算があると判断した。ちなみにライソンという社名は、「LIFE(生活)」と「MARATHON(マラソン)」をつなげた造語だ。生活の中でより快適に、より長く使っていただける製品を作るという意味が込められている
最初の製品は巨大わたあめの製造機
折しも、アイリスオーヤマやニトリが安くてシンプルな生活家電を自社ブランドで販売して売り上げを伸ばしていたタイミング。新ブランドの差別化をはかるため、話題になる商品を売ろうと考えた。もちろん話題になるだけではなく、売れることが大前提。挑戦的ではありつつも、過去に人気を集めた家電をベースにした企画を選んだ。それが、直径が30センチメートルもある巨大わたあめ製造機「ジャンボわたあめ屋さん」だった。
「販売も今までの卸しとは異なるルートを開拓するため、初めてクラウドファンディングサービスの『Makuake』を使いました。資金を集めるというよりプロモーションが目的で、狙いどおりSNSなどでも話題にもなり、目標金額30万円のプロジェクトに約150万円が集まりました」(山社長)
「インスタント焼きそば、実は焼いてない」会話がヒットの契機に
クラウドファンディングを通じた販売に手応えを感じたライソンは、次も話題性の高い商品を企画。インスタント焼きそば「ペヤング」の調理に特化したホットプレート「焼きペヤング専用メーカー」を開発してクラウドファンディングサービスの「Readyfor」に掲載したところ、50万円の目標に対して500万円以上が集まる大ヒットになった。
「社員飲み会で『インスタント焼きそばって実は焼いてないよね』という話をしたのが開発のきっかけ。そこから実際に焼いてみて、社員の間で一番美味しいと評価されたインスタント焼きそば『ペヤング』に合わせて、1人用ホットプレートを開発することになりました」(山社長)