インパクトを出すため、名称も「インスタント焼きそば専用」とはせず、「焼きペヤング専用」にし、“世界初”と冠することも狙った。グループ会社を通じてペヤングを製造するまるか食品の社長に相談したところ、開発やネーミングについても快諾。以後の商品化もスムーズにできた。
社員の「やってみたい」も製品化
それまでは次のヒット作を考えるため、毎月社内で企画会議を開いていたライソンだが、ホットプレートの成功を機に、「次の製品は社員が面白いと思って、やってみたいものだけ作ろう」となった。そこで誕生したのが「ショベルカーも壊せない」とうたうクーラーボックス「インペリアルクーラーボックス」である。
「とにかくアウトドア商品が大好きという社員の『どうしてもやってみたい』という熱意をくんで開発したんですが、まさか本当にショベルカーが踏んでもつぶれない商品ができるとは思ってませんでした」と、山社長は開発当時を振り返る。クラウドファンディングでは200万円の目標に対して約2倍の金額が集まり、現在でもEコマースなどで人気の商品になっている。
新製品「家庭用コーヒー豆焙煎機」は3700万円以上を集める
今年3月15日にクラウドファンディングを始めた家庭用のコーヒー豆焙煎機「ホームロースター」は、初めて社外から依頼を受けて企画した製品だ。
「数年前に業界で知られるコーヒー店のオーナーから焙煎機を開発したいと相談されたのですが、当時は技術や価格が合わずお断りしていました」(山社長)
これまでのコーヒー豆焙煎機は、100万円以上する業務用の大がかりなものか、もしくは家庭用でも非常に高価なものがほとんどだった。専用の焙煎機を使わなくとも焙煎自体はフライパンでできるが、火加減が難しく、長時間振り続けるなどして豆を均等に焙煎するのはかなりの手間だ。さらにチャフ(微細なゴミ)も飛び散ることから、掃除も必要になる。
こういった課題を、ポップコーンメーカーをベースとした専用の機器を設計することで解決した。現在Makuakeに掲載中の同製品には、4月18日時点で3700万円以上の資金が集まっている。
ヒット作を次々に飛ばすライソンだが、社内では企画とデザインに集中しており、製造自体はライソン設立以前から発注している中国の業者が担当している。「すでにある商品をベースにした方がコストも機能も追求できるのがその理由」と山社長は言う。
ライソンでデザインを担当する企画課の柏原清享氏もその点には同意しており、「子どもからお年寄りまで誰もが簡単に長く使ってもらうためにも、パーツを減らして機能をシンプルにすることでコストを落とし、どんな家にもなじむデザインを心がけています」と話す。