今年7月6日、匿名の情報提供を受けた警察から大学に連絡が行って、アメフト部寮を自主的に調査した大学は、大麻とおぼしき植物片と覚醒剤とおぼしき錠剤を発見した。そして同月18日(19日とも)、大学は警察に同件について相談し、植物片と覚醒剤が押収された。

 調査の主導にあたった澤田副学長はその植物片を「大麻のカスかも」と思いつつ、発見から警察への相談に至るまで約2週間のタイムラグがあった理由について、「(生徒に)反省させて自首させたいと考えた」と会見で説明している。

 一方で、薬物使用を判定する尿検査では、大麻で約2~3日、覚醒剤で10~12日の間を置けば(その期間使用しなければ)疑わしい反応が出ないことから、日大が設けた“空白の2週間”を隠蔽目的だったのではないかと見る向きもある。

 8月頭に林理事長から「違法な薬物は見つかっていない」と説明があったが、同月3日に寮に警察の家宅捜索が入り、8月、10月、11月で部員ひとりずつ計3人が、麻薬特例法違反容疑などで逮捕された。「アメフト部員10人前後が大麻所持に関与していた」との調査報告もあって、部内の違法薬物まん延を眼の前にした大学は、諸々鑑みてアメフト部を廃部にする方針を決定した。

「とばっちりもいいところ」
噴出した批判と処分保留

 すると「同部で違法薬物にかかわらずアメフトに打ち込んできた部員にとってはとばっちりもいいところで、あまりにもかわいそうではないか」といった世論が勢いよく出てきた。日大アメフト部の長年のライバルだった関西学院大のOBがネットで廃部撤回の署名を3万人以上集めたことも注目を集めた。

 こうした反応を受けて、林真理子理事長は廃部を「継続審議中」と説明し、アメフト部については処分保留の状態となった。

 一方、林理事長は学内調査の責任者だった澤田副学長に辞任を勧告し、澤田副学長は「パワハラ」として林理事長を相手に1000万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。なお日大の臨時理事会によって、林理事長に対して報酬の50%減、酒井学長・澤田副学長両名への辞任が勧告され、後日理事会にて両名への辞任が承認された。