「こんなに利益が出たのに、手元に残るお金はわずか」
経営者なら、誰しも一度はこう思うはずです。だからといって、小手先の節税に躍起になってはいけません。会社のお金を1円でも多く残し、そのお金を会社の投資にまわし、会社をより成長させる。それこそが経営者の仕事です。
本連載は、「1円でも多く会社と社長個人にお金を残す方法」を学ぶものです。著者は、財務コンサルタントの長谷川桂介氏と公認会計士・税理士の黒瀧泰介氏です。インボイス制度、各種法律に完全対応の『今日もガッチリ資産防衛――1円でも多く「会社と社長個人」にお金を残す方法』の著者でもあります。経営者の超リアルなお金の悩みに対し、あますところなく解決策を提示した1冊になっています。
知らないと絶対損する! 税金の超基本
節税テクニックを説明する記事の中には、「控除」という言葉がたくさん出てきます。「控除」は、税金をカットするうえでとても重要なキーワードです。
「控除」とは、金額や数量などを「差し引く」という意味です。
税制上、納税額を減らすことのできる控除には、大きく「所得控除」と「税額控除」の2種類があります。所得控除とは、課税対象となる所得金額を減らせることをいいます。一方の税額控除とは、税金そのものを減らせることをいいます。
さて、「所得」という言葉が出てきました。「所得」と「利益」の違いは誤解しやすいところですので、整理しておきましょう。
利益とは、収益から費用を引いた、「会計上の儲け」を指します。一方の所得とは、総収入金額から必要経費を引いた「税務上の儲け」を指します。
会計上の「収益」と税務上の「総収入金額」、会計上の「費用」と税務上の「必要経費」が同じ額ならば、所得の額と利益の額は一致しますが、そうなることはほとんどありません。
過度な交際費や、プライベートでも使う高級腕時計などは、会計上「費用」ではあっても、税務上「必要経費」としては認められなかったりしますからね。
さて、それでは所得税計算の流れを見て、節税のポイントを整理しましょう。