ホリエモンも10kg減「薬でダイエット」流行に厚労省はお手上げ!肥満薬ウゴービ登場で混乱加速?Photo:PIXTA
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

 薬を使った美容目的のダイエットは、それほどおかしなことなのだろうか。治療のためであろうと、美容のためであろうと、痩せるのは本人の自由のはずで、それが薬を使ったダイエットであっても、法律上禁止されていなければダメとは言い切れない。しかも、SNSを覗けば、薬が簡単に手に入り痩せられるという。

 糖尿病治療薬「リベルサス」「オゼンピック」「ビクトーザ」などをダイエット目的で転用する「GLP―1ダイエット」が巷で流行している。しかも、SNS上で自由診療クリニックの医師が薬の飲み方や打ち方まで教えている。美容目的の女性だけではなく、実業家の「ホリエモン」こと堀江貴文さんが1カ月半で10キロ痩せたというし、テスラの創業者イーロン・マスクCEOも使っていると憚らない。今や薬で痩せるのが著名人の間のトレンドになりつつあり、いくら厚生労働省や日本医師会が、糖尿病薬を美容などのダイエットで使わないで、と訴えたところでインフルエンサーの声にかき消されている。

 ましてや日本肥満学会が、「いよいよ『ウゴービ』という肥満症を対象とした新薬が日本で登場するので、ただの肥満の人は使わないで下さい」と注意を促しても、「とにかく痩せたい」と願う人の耳には届かない。それどころか、SNSでは、ついに日本で発売された“ダイエット”の新薬として紹介されるのがオチである。学会はウゴービの登場を控え、肥満症診療ガイドラインを改訂し、製薬企業とも協力して混乱が起きないように地ならしを行ってきた。だが、残念ながら努力は虚しく、発売前から怪しい気配が漂っている。