多様な人がいきいきと成長できる社会づくり
あらゆる人がダイバーシティコミュニケーションを意識すれば、人も職場も社会も変わっていくに違いない。とはいえ、100%を目指すことは難しい。垂水さん自身も、「未だにゴールがなく、講師をしながら学んでいます」と語る。
垂水 ダイバーシティコミュニケーションは、「対話」で進んでいくと私は考えています。多様性を認め合いながら対話することが大切ですが、組織においては、そこに、1本の「背骨」が必要だと思います。「背骨」になるのは、企業理念や目指すビジョンのような「共有できるもの」です。みんなが同じ方向を見ていないと、バラバラになってしまいます。そこをどう練り上げていくかは経営者の責任もありますし、マネジメントする立場の人の発想の転換も必要です。会社のビジョンのため、メンバーのため、そして、自分自身のため。みんながWin-Winになるのが理想です。
研修やキャリアコンサル業のほか、東京都が主催する「東京セカンドキャリア塾」の講師、一般社団法人「あしたの働き方研修所」の理事など、多岐にわたる活動をしている垂水さん。今後はどのような活動を目指しているのだろう。
垂水 いま、社会では、キャリアコンサルタントや中小企業診断士、ファイナンシャルプランナーなど、いろいろな専門職の人たちが活動していますが、別々に動いているのはもったいないと感じています。私自身、一人でやっていても限界があるし、多様な人たちとチームを作って、課題解決を行うプロジェクトができたらとよいと考えています。キャラバン隊のようなイメージです。企業からオファーを受けるだけではなく、自分たちで問題を提起し、提言していく。いろいろな企業が集まってワイワイやるようなプラットフォームができるのも良いし、そうした村や町ができても面白いですよね。多様な人がいきいきと成長できる社会づくり――それこそが、ダイバーシティなのではないかと思っています。