ランニングにおける科学的アプローチと
フィードバック制御系

 登山と同じく、ランニングにおいても計画は重要です。これも事業やプロダクトと似ている部分があるので、ご紹介しましょう。

 最初は5キロも走れなかった私ですが、だんだん距離を伸ばして10キロの大会で完走し、自信がついてハーフマラソン、フルマラソンへとチャレンジするようになりました。フルマラソンを初回出場から完走すると、今度はタイムを縮めることに挑戦するようになります。ところが3回目の出場で4時間以内(サブ4)を達成したところで、伸び悩み始めました。

 そこからは科学的アプローチが必要になります。自分なりにいろいろなトレーニングを取り入れ、どの部分を強化するかを考えて練習するようにしました。また登山と同様、コースでのペース配分も重要です。

 コースのどこをどのぐらいのペースで進み、どのくらいの時間で通過するか予定を立て、給水所で何を取るのか、給水所で足りない部分は何を持っていって補うのか、計画を立てます。ヘッドセットの装着が禁止されていないレースでは、自分のモチベーションを高めるために、走りながら聴く曲を選び、どの辺で何を流すかまで考えたりもしました。

 こうした科学的なアプローチによるランニングは、一種の仮説検証やフィードバック制御系のようなものに通ずるところがあります。

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 フィードバック制御は目標値信号を制御機器に入れ、信号が制御対象に送られると出力があり、それを検出してフィードバックとして制御機器に戻すことで、目標通りに動作させるというもの。考えてみれば、自分が目標とする予定タイムを頭に入れながら体を実際に動かし、天候や路面、その日の体調などによって予定通り行動ができない場合は、時計やバイタル情報などを確認し、リアルタイムで補正をかけながら元の予定に近づけて進む、という行為はまさに科学的なアプローチといえます。