台風・豪雨・地震が頻発、事業継続の明暗を分ける「災害対応」の基本理念関東大震災から100年、災害対応から企業が学べる考え方とは?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

今年も台風や豪雨などの災害により、大きな被害が発生している。関東大震災から100年を迎える9月1日の防災の日を前に、マイクロソフトやグーグルでエンジニアとして活躍し、複数の企業で技術顧問を務める及川卓也氏が、災害対応から企業が学べる考え方や取り組みについて、いくつかの例を紹介する。

関東大震災から100年
災害対応の進化から学ぶ

 間もなく防災の日。今年は1923年9月1日に発生した関東大震災から100年です。地震だけでなく、台風や豪雨などの風水害も毎年のように発生しています。防災の日をきっかけに、さまざまな災害への備えをしっかりと行っておきたいものです。

 さて、防災・減災のために現場で実施されている対応には、事業でも生かせる内容が多くあります。今回は災害対応から学べることをいくつか、紹介したいと思います。

「タイムライン(防災行動計画)」は、災害発生を起点(ゼロアワー)とし、その前にやっておくべきこと、発生以降にやらなけばならないことを、災害が起こる前にあらかじめ整理しておくものです。防災関係機関が連携して災害時に発生する状況を予想し、共有した上で、「いつ」「誰が」「何をするか」、防災行動を時系列で整理してプランニングします。

 特に水災害、雪害など、事前に起こりうる状況が想定できる災害では、国や自治体、企業、住民などが連携してタイムラインを策定することが効果的です。また、地震などの突発型災害でも、発生後、何から速やかに行わなければならないかを検討するのに有効な手段となると考えられています。

 このタイムラインを応用して、家庭や個人が災害時に取るべき行動を決めておく「マイ・タイムライン」という取り組みも広がっています。

 災害に備える取り組みにはほかに、「DICE(災害情報&コミュニケーション演習)」というプログラムがあります。もともとは、無線機の操作を分かりやすく実践的に習得する目的で考えたゲームをベースに生まれた演習です。私は以前、災害ボランティア団体のお手伝いをしていたときに教わりましたが、非常によくできたプログラムでした。