人生100年時代、「ゾンビになるまでにしたい100のこと」を実現するには人生100年時代、ゾンビになるまでに自分が本当にやりたいことを見つけ、実現するにはどうすればよいのだろうか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

人生100年時代、自分が本当にやりたいことを見つけ、実現するにはどうすればよいのだろうか。マイクロソフトやグーグルでエンジニアとして活躍し、複数の企業で技術顧問を務める及川卓也氏が薦めるのは、まず「やりたいことリスト」を作ることだ。「健康になりたい」「お金持ちになりたい」に潜むワナ、「やりたいことをする時間がない」のウソについても及川氏が考察する。

やはり人生やりたいことを
やった方がいい

 最近、私は登山にはまっています。登っている間は「こんな大変なところになぜ来てしまったのか」と後悔しきりですが、非日常の世界で絶景に出会うと心から来てよかったと感じます。今年の夏は毎週のように山に登っていて、ちょっと行き過ぎたと反省するほどでしたが、やはり「人生やりたいことをやった方がいい」と改めて思います。

「やりたいことをやる」といえば、最近『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』という映画をNetflixで観ました。いわゆるブラック企業で働く若者がゾンビによるパンデミックをきっかけに、やりたいことを実現していくストーリー。漫画原作が評判になり、今年相次いでアニメ化・実写映画化されています。

 仕事に忙殺されて休みなく働いていた『ゾン100』の主人公は、ある朝、外にゾンビがあふれているのを目にし、もう会社に行かなくてもいい自分に気づきます。そして「どうせいつか、ゾンビになってしまうなら、やりたいことをやるぞ!」とポジティブに開き直り、実現していきます。ゾンビに囲まれて大変な事態になりつつも、今まで縛られていた日常から解放されたことを楽しみ、新しい生活を謳歌(おうか)するという、ちょっとシュールですがワクワクするストーリーでした。

 そこで主人公が作るのが「ゾンビになるまでにしたい100のこと」というリストです。

「やりたいこと」を見つめ直した
3つのシチュエーション

 私にもこれまでに何度か、“ゾン100っぽいシチュエーション”がありました。最初は十数年前、人間ドックで異常が見つかり、予後が悪いがんの可能性があると指摘されたときです。専門医に診てもらったところ、がんではなかったのですが、命が有限であることを再認識し、やりたいことをもっと優先しようと考えるようになりました。私は自他ともに認める仕事人間でしたが(今でもそうですが)、「プライベートでやりたいこともやろう」と意識するようになったのがこの頃です。ただ、リストを作ることまでは思いつきませんでした。

 2度目は、Googleで仕事がうまくいかなくて評価が上がらず、このままではクビになるかもしれないと考えたときです。生活はどうにかする自信がありましたが、Googleの中にいるということは、やはり特別な体験で、このままクビになっては悔しい。そこで中にいるうちにやりたいことをやりつくそうと考え、「Googleにいるうちにやりたいこと」リストを作りました。