ロシアは戦争にうんざりした国民をなだめるため、多額の資金を投じて新築住宅の購入者向けに低利融資を提供してきた。この資金が今、予期せぬ経済問題を生み出している。急激な住宅バブルだ。ウクライナで激しい戦闘が続く中、借り入れによる住宅価格の高騰と急ピッチのインフレは、ロシア指導部内の亀裂を浮き彫りにした。金融安定が責務の中央銀行と、2024年の大統領選挙を控えて国民の支持強化を狙う政府が対立する構図だ。ウラジーミル・プーチン大統領は先週、子どもがいる世帯に低金利の住宅ローンを提供する政策を来年末まで延長する考えを示した。一方、ロシア中央銀行のエリビラ・ナビウリナ総裁は、需要とインフレの抑制に向けた金融政策の効果が住宅ローン支援制度によって損なわれるとして、制度の一部廃止を求めている。中銀は先の会合で主要政策金利を引き上げ、6月時点の2倍以上の16%とした。