ホストが陥る「売掛地獄」とは?
これまで記したように、売掛はホストの借金として報酬から引かれる。そして、女性が売掛を返さないと、ホスト個人の負担はどんどんと膨らむ。
Aさん自身もホストだったとき、店舗への借金が最高で400万円にも達した。あるときには店舗オーナーが、Aさんの指名客の席につき、店出し価格が100万円の高額シャンパンを注文するように煽った。
Aさんはキャバクラのマネジャー経験もある。キャバクラではお酒の値段は仕入れ原価の3~5倍だが、ホストクラブでは10倍で出しているという。
しかも、先のオーナーは指名客が現金で払えず売掛になることが分かっているのに、身分証のコピーも取らず、支払い契約書も書かせなかった。Aさんは入金日までに売掛を回収できず、報酬から100万円が引かれた。借金となったが、売り上げからではなく報酬からの返済のみが認められた。そんな当時を、Aさんは振り返る。
「売掛地獄から抜け出すため、現金で売り上げを確保しました。それでも借金を完済し、報酬が出るようになるまでには、かなり時間がかかりました」
売掛を見直す、自主的な動きも出てきている。
著名ホストのROLAND氏は11月17日、X(旧ツイッター)で公開した声明で「この度、ローランドグループが運営するホストクラブの営業において、一切の売掛(ツケ)を禁止とさせていただきます」と発表した。
「一連の報道を重く受け止め、トラブルを未然に防ぐ為」だとしている。
また、歌舞伎町のホストクラブは地域店舗で団体をつくり、来年4月には「売掛なし」での営業を目指すと12月5日に明らかにした。