就職先はマグロ漁船!カラオケはサビだけ…若者の「タイパ至上主義」はここまで来たZ世代にとって、タイパは人生設計のあらゆる面に及んでいるようだ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

受けるサービスはショートで時間効率のよいものを選び、恋愛も1週間以内で結果を求めるZ世代。彼らにとって、タイパ(=タイムパフォーマンス)という概念は、人生設計のあらゆる面に及んでいる。効率と時短を重要視する彼らの消費行動を考える。本稿は、廣瀬涼著『タイパの経済学』(幻冬舎新書)の一部を抜粋・編集したものです。

多岐に渡るショートサービスが
退屈な時間を確実に埋めていく

 市場にはタイパ向上を謳った商品やサービスが溢れている。例えばTikTokをはじめとした「ショート動画」は、短い時間でエンターテインメントを消費できる点が特徴だ。

 スキマ時間を埋めることができるショート動画からは、何かするには短すぎるが何もしないと退屈というアイドリング時間にも確実に完結できるタスクが与えられ、動画の娯楽性と、時間を(何かをしていたという意味で)無駄にしなかったという2つの満足が得られる。

 一方で、「その状態になること」を目的とした市場も注目されている。何かをやったつもりになれる市場の拡大とも言えるだろう。以下に、いくつかのサービスを挙げる。

(1)chocoZAP
 パーソナルトレーニングや日々の食事カウンセリングなどのサポートを行う「RIZAP」を運営するRIZAPグループが2022年7月に開始した、ライトユーザー向けの安価な無人小型トレーニングジム。

 月額2980円で、どの店舗も365日24時間使い放題とコスパ的にも評価できるが、なによりコンセプトが「コンビニジム」ということもあり、服装自由・靴も履き替えずにそのままでOKと、ふらっとコンビニに寄る感覚で運動ができるため、着替えをわざわざ取りに行ったり、重い腰を上げてジムに行かなくても何かのついでに寄れる。

 ただ、本家RIZAPとは異なり、トレーナーに自身の体形管理をされることがないため、痩せるという目的を達成するうえではタイパは期待しづらい。あくまでも価格が安く簡単にジムに入会した状態になるという点と、通うための手間(コスト)が少ないという点でタイパがよいといえるだろう。

(2)flier
「1冊10分で読める要約 ビジネスパーソンがいま読むべき本を厳選!」をコンセプトに、ビジネスパーソンや就活生を対象に良書との出会いを促進する時短読書サービス。

 ビジネス書や教養書は1冊読むのに4~6時間かかるといわれている。flierではビジネス書が10分で読める程度に要約されており、通勤時間などのスキマ時間に活用して身につけられることから、高い意欲を持つビジネスパーソンに広く利用されているようだ。