しかし女性については、一人行動に対するニーズは男性同様にあるものの、カラオケなど一部を除いて実際に一人行動をすることへの抵抗感は強い。

 Z世代にとっては、SNSに疲れていても簡単にはその利用を止められるものではないが、たまにはSNSから解放されたい気持ちから、一人行動に向かうニーズは確かにあると考えられる。

 したがって、女性でも気兼ねなく安心して一人行動ができる環境を整えていくことや、Z世代女性では一人行動をする理由の一つとして「周りでも一人で行動する人が増えて、抵抗感がなくなったから」が高かったことからも、インフルエンサーを活用するなどして一人行動の良さや体験を広めていくことで、自分にとって身近な人が一人行動をしているといった情報が、女性の一人行動の後押しになるだろう。

 男性層におけるソロキャンプのような新需要を女性層で掘り起こすことは、企業にとってビジネスチャンスとなるが、同時にZ世代のSNS疲れという課題への対応につながれば、社会的にも意義があるものとなる。

書影『データで読み解く世代論』(中央経済グループパブリッシング)『データで読み解く世代論』(中央経済グループパブリッシング)
林 裕之 著

 Z世代はデジタルネイティブな世代であり、他者とつながりやすく、他者とのコミュニケーションが器用な世代である。しかし、他者の目を気にし、消費においても他者からどう見られるかを意識する世代であるため、時折つながり疲れを見せるなどセンシティブな世代でもある。

 これらの特徴は「失敗したくない」気持ちからくる超安定志向が価値観・行動の源泉となっている。「一人行動」ビジネスはZ世代の特徴である「つながり疲れ」を解消することをヒントとしているが、こうしたZ世代が抱えるペインポイントの解消にはビジネスチャンスが埋まっている。

 超安定志向を起点とするZ世代のユニークな特徴を理解することで、次に台頭するであろう新しい世代の消費者への攻略に役立ててもらいたい。