痴漢行為やわいせつ行為など、男女13人の子どもに性加害しながら生きてきた加藤孝さんは、2000年代初め、38歳のときの犯行での男児の必死の抵抗で我に返り、これを最後とすべく自首。保護観察付き執行猶予の判決を受けた。以来、性加害からきっぱり離れている。しかも、「自分はもう子どもを傷つけたくない。同じような問題を抱えている人に、あなたも変われると示したい」との思いから、メディアに実名と顔をさらして自身の加害体験を語っている。彼の言葉を、社会はどう受け止めたらいいのだろうか。※本稿は、『子どもへの性加害 性的グルーミングとは何か』(幻冬舎新書)の一部を抜粋・編集したものです。
ガムテープで口を塞がれた男児は
公衆トイレで必死に抵抗した
加藤孝さん(以下加藤) 僕が最後に子どもへの性加害をしたのが、2000年代初めのこと。38歳のときです。商店街でひとりで遊んでいる小学生男児に「手伝ってほしいことがある」と騙して声をかけ、公衆トイレに連れ込み、ガムテープで口を塞ぎ、ズボンを下ろそうとしました。するとその男の子は「やめて」と声を出したんです。
――必死に抵抗したんですね。
加藤 そうです。結局、そのときはそれ以上のことはできずに、男の子を解放しました。その後、トイレにひとり残され、ふと我に返ったとき、自分のことが怖くなったんです。「このままでは、いつか自分は子どもを殺してしまう」と。
そこで交番に自首しました。強制わいせつ未遂で起訴され、懲役2年、保護観察付き執行猶予4年の有罪判決を受けました。
――そもそも加藤さんは、顔見知りではない被害者を選ぶパターンが多かったのでしょうか。それともすでに面識のある子どもをグルーミングして、性加害に及んでいたのですか?
加藤 両方ですね。僕は過去に女児3人、男児10人、計13人の子どもたちに性加害を行いましたが、被害者には顔見知りの子どもも含まれていました。
グルーミングに当てはまる例でいえば、20代の頃、家庭教師先の男子中学生に「マスターベーションを教えてあげる」と言って性器を触って射精させたことです。それまでも定期的にその生徒には家庭教師として指導をしていたのですが、その日は彼が半ズボンをはいていたんです。それを目にしてスイッチが入り犯行を決意したのだと、いまとなっては思います。
児童ポルノで自慰にふけりながら
リアル弱者男子に性加害する日々
――加藤さんの最初の性加害はいつ頃ですか?
加藤 僕が中学生の頃でした。被害者は当時、ようやく幼稚園に上がるぐらいで、パンツをはいたまま排尿を強要しました。寝ている被害者の服を脱がせたり、自分の性器を押し当てて排尿をするなど、加害行為を繰り返していました。
――幼い子どもへの性加害に興奮を覚えるという自身の性的嗜好は、徐々に意識するようになったんですか?