ジャニーズ被害者たちの多くが
当時10代前半だったのはなぜか
――2023年は、ジャニーズ事務所の性加害問題が大きく取り沙汰され、社会問題となりました。一連の報道を、加藤さんは性加害経験者としてどのように見ていましたか?
加藤 ジャニーズ事務所の問題については、1988年に元フォーリーブスの北公次さんが『光GENJIへ 元フォーリーブス北公次の禁断の半世紀』(データハウス)でジャニー喜多川氏による性加害を告発していたことで、当時からとても印象に残っていました。
子どもへの性加害経験者として気になったのが、被害者の当時の年齢です。第三者機関による調査報告書も公表されましたが、被害者の少年たちの年齢は10代前半が多かったですよね。おそらく喜多川氏は性的同意年齢(当時は13歳)を知ったうえで、主に13歳以上の年齢の少年たちを狙っていたのではないかと思いました。
斉藤章佳 著
――いまでこそ刑法改正によって性的同意年齢は16歳に引き上げられましたが、当時は被害者が13歳以上の場合、「抵抗が著しく困難になるほどの暴行または脅迫があったこと」が証明できなければ、強制性交等罪や強制わいせつ罪は成立しませんでした。「合宿所」という密室では目撃者も少なく、10代の子どもが「暴行・脅迫」があったという事実を証明するのは至難の業です。
加藤 実は何を隠そう、僕自身も同じ手口だったんです。先に述べた、家庭教師先で及んだ性加害も相手が13歳であることを確認したうえでのものでした。
もちろん、常に「性的同意年齢ありき」で加害行為を行っていたわけではないのですが、以前は加害者にとって「13歳」という年齢は、ひとつの区切りとして意識せざるをえないものだったのではないかと思います。