「表情」で話を受ける

 聞く力を補強するうえで、重要なことがあります。それは、相手が話しているとき、無表情で受けない。表情で受ける。ということです。

 相手が話しているとき、無表情で話を受けると、相手にとっては、「この人、聞いているのか聞いていないのかわからない」と、感じるはずです。

 相手の目や口元を見て、

「うん、うん」「そうですね」「なるほど」

 と言いながら頷くのがいいでしょう。

 ときには「ああ、そうなんですか!」と驚きを表すのもいいでしょう。

 このように表情を使って反応していくことは、相手に親しみをもってもらうために非常に有効です。当然、あなたの質問にも親しみを持って答えてくれるでしょう。ポロッといい話を聞かせてくれるかもしれません。

インプットされたものを「整える」

 人から聞いたこと、インプットしたことを「整える」ことも重要な気くばりスキルのひとつです。これには思考を整理するフレームワークが有効です。

 たとえば、「空→傘→雨」というように、「空を見たら→雨が降りそうだから→傘をもっていく」というステップを踏んでストーリーをつくるやり方があります。

 また「そもそも何が問題か?→何を決めるべきか?→論点は何か?→解決の選択肢は?」と整理するやり方もあります。

 そのほか、情報を結果と原因の関係に漏れなくダブりなくつなげていく、ロジックツリーというやり方もポピュラーです。

 こうしたフレームワークについて紹介している本や情報サイトがたくさんあります。知っているだけでは使えません。自分の身の回りの問題の整理や解決のために使ってみましょう。

 私は現在、某県庁の組織改革アドバイザーを務めています。県職員が明るく楽しく前向きに働く県庁にすることで最高品質の行政サービスを実現しようという試みです。この推進のために県庁の中に「かえプロ」という組織風土を変えるプロジェクトを組成しました。

 このプロジェクトの推進にあたり、先のフレームを活用しました。まずは「何が問題で、どうしたいのか」と聞き、それを6つの問題に整理しました。次にこの6つについて「どういう現象が生じているのか?」「それを放置するとどうなるか?」「その現象が生じている原因は何か?」と質問を投げかけ、それらの問題点の根本的原因を掘り下げました。