イギリスの法制度が
事件解決を困難なものにしている
スナク首相が、被害者を救済するためには法改正が必要だと明言してるように、この冤罪事件を解決困難なものにしている原因の一つは、イギリスの法制度にあります。
問題としてはポスト・オフィスがもともとは政府機関だったこともあり、横領や不正経理について社内の監察組織が独自に検察の役割を担って起訴できる法制度になっています。その起訴のプロセスで、被害者たちは「罪を認めれば司法取引で収監を免れる」と持ち掛けられて、無実でありながら罪を認めています。
被害者たちは判決を受け、罪を償った後で、同じような被害者たちが他にもたくさんいたという事実を知るのですが、法律上、本件は個別の上訴しかできないという壁も存在しました。これは冤罪事件のあるあるだと思いますが、ポスト・オフィスとしては検察の立場で冤罪を認めるわけにはいかないので、このままだと700件もの訴訟すべてを上告し続ける事態が続きそうです。
結局のところ、すべての有罪判決を取り消し、ポスト・オフィスからの起訴権を取り消すには法改正が必要なのです。
さて、イギリスではこの事件に関して富士通に補償を求める声も高まっています。富士通はメディアを通じて「郵便局長とその家族の生活に壊滅的な影響を及ぼしたことが、調査で明らかになった。富士通は、その苦しみに関して自社が果たした役割について謝罪してきた」という声明を発表しています。直近では富士通幹部が公聴会で質問を受け、道義的責任を認める発言をしました。
では、富士通にはどのような責任があるのでしょうか?