“パラレルキャリア”の効果と効果最大化のために個人と組織に必要な姿勢
ミドル・シニア(40~50代)はどうすればよいか?
本稿の最後に、ミドル・シニア(40~50代)に向けての、私の提言をまとめます。
冒頭で取り上げた役職定年や定年後再雇用制度には私自身も否定的な立場です。しかし、残念ながら個人の力で改廃することはできません。そうである以上、自らのマインドと行動を変えて準備をすることです。制度のネガティブな面だけを見るのではなく、自分の成長につなげる方向に視点を変えることです。
例えば、役職定年や定年を、エンプロイアビリティを高めるための学び直しのマイルストーンとみてはどうでしょうか。役職定年の年齢までに、社外でも通用するスキルの獲得を目的としてパラレルキャリアを実践してみる。仮に目標に未達なら、定年までに達成できるようリプランする。役職定年から定年まで少なくとも3年はありますので十分再チャレンジ可能です。
パラレルキャリアを通じて、社外でも通用するスキルレベルを達成することができれば、将来を所属企業に全面依存するリスクは低減できます。少なくとも定年時に再雇用制度しか選択できないという事態を避けることができます。中高年受難の時代ですが、待っていても何も変わりません。今の時代、「果報は寝て待て」ではなく、「果報は練って待て」です。「本業で貢献する」意識を持ちつつ、勇気を持って、半歩踏み出してみましょう。
一方、企業においては、パラレルキャリアを実践し、スキルアップを遂げたミドル・シニアの積極的な活用を推進してもらいたいと願います。年齢だけで一律に処遇するのではなく、個別に見極め、有効活用できる企業が、競争力を高め、生き残っていけるでしょう。