テクも経験も豊富なプロ並みに
おもしろい写真を撮る方法

 写真の表現方法は幅広い。ぼくも写真業界でいろいろ経験してきたので、いろんな表現方法の引き出しは持っているつもりなんだけど、ぼくが普段写真を撮るうえで意識しているのは、(肉眼で見たものを撮るのは限界があることは重々承知なんだけど)視点の再現です。

 視点を意識した写真は撮った人が何を見たのか伝わりやすいから好きです。なんで撮ったのか、何を考えて撮ったのか、何をおもって撮ったのか。撮ったときの撮影者の表情までが想像できるからおもしろいのだ。

 ゴリゴリなテクニックで撮った写真もいいんだけど、むずかしいことを考えずにパッと撮った写真にぼくは魅力を感じます。美味しい料理はたくさんあるけど、行きつくところはお茶漬けみたいなものだったりするし、中年になるとゴリゴリの特上カルビよりも漬物の美味しさに気づくじゃないですか。たぶんそういうものと一緒だと思います。

 視点を再現した写真はテクニックが反映されにくいから、写真家だろうとカメラを持ったことがない保育園の先生だろうと、保育園に通うような年齢の子どもだろうと、誰でも等しく平等に写真がおもしろくなります。

 すごく親バカっぽいんだけど、うちの息子は3歳ぐらいから写真を撮っているんですけど、息子の撮る写真がすごくいいんですよ。それから妻の撮る写真もすごくいいんですね。パッと写真を並べたらぼくが撮ったのか、息子が撮ったのか妻が撮ったのかわからないです。写真にうつってるものが違うので、そこでようやく誰が撮ったのかわかります。視点を再現した写真のいいところだと思います。

 視点を再現した写真って自分が本当に好きなものしか撮らないからね。SNSのバズやバエやエモとは縁遠いんだけど、他人の価値観のいいねや好きで写真を撮るより、自分の価値観のいいなと好きだなで写真を撮ることを考えましょう。