「とっさの質問にうまく答えられない」「『で、結局、何が言いたいの?』と言われる」「話し方やプレゼンの本を読んでも上達しない」……。そんな悩みを持つ方は、言語化の3要素である「語彙力」「具体化力」「伝達力」どれかが欠けていると指摘するのは、文章や話し方の専門家であり言語化のプロである山口拓朗氏。本連載では、山口氏による話題の最新刊「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」の中から、知っているだけで「言語化」が見違えるほど上達するコツをご紹介していきます。

自分の意見や考えの「解像度」を上げるもっともシンプルな方法Photo: Adobe Stock

「解像度」を上げるための思考の深め方

 自分の言いたいことがぼんやりしている場合、それを具体化し解像度を高めていける簡単な方法があります。

 それが本書でも繰り返し説明している「なぜ→たとえば」メソッド。

 最初に思いついた「ざっくりした意見・感想」を「なぜ?」と「たとえば?」を使って自問自答し、意見や考え方をどんどん具体化していくという、非常にシンプルなメソッドです。「ざっくり一言」「なぜ?」「たとえば?」を使って、思考を具体化していく方法を見て行きましょう。

【ざっくり一言】は思考の足掛かり

「それ、おいしい?」「部長って、どんな人?」。
こんな風に、何か意見や感想を求められたとき。あなたの頭の中には何かしら答えが思い浮かぶと思います。ぼんやりしているとしても、「おいしい(orまずい)」「怖い人(or優しい人)」など、ざっくりとした感想・思いが浮かんでくるはずです。

 まずはその言葉をキャッチします。それが「ざっくり一言」です。

 この「ざっくり一言」は、具体化のスタート地点です。
 そこから「なぜ?→たとえば?」のプロセスを経て、思考が深まり広がっていきます。最終的なゴールが同じ「ざっくり一言」であっても、その間を様々な具体化情報で埋めることで密度が高まり解像度が高まります。上手な言語化を叶えるカギは、スタートとゴールの間の情報密度をいかに高めていけるかにかかっているのです。

 ちなみに、「ざっくり一言」からスタートして「なぜ?」と「たとえば?」で具体化を進めていった結果、スタートとゴールの「ざっくり一言」が変わることもあります。
 最初は「やさしい人だ」と思ったけれど、思考を深めて考察していった結果、「実は怖い人だった」という具合です。つまり「ざっくり一言」はあくまで思考を深めるための足掛かり。深く考えずにぱっと思いついたところからスタートすればいいのです。

【なぜ?】で思いを深掘り

「ざっくり一言」で、意見や感想の“とりあえずの方向性”を決めたら、次に「なぜ?」でその思いを深掘りします。
 そう感じたからには必ず理由があるからです。その感情に寄り添って、自分に問いかけてみましょう。

「なぜ、そう思ったの?」
「なぜ、A案がいいと思ったの?」
「ざっくり一言」と「なぜ?」はワンセット。表裏一体の関係です。「◯◯」という一言の裏には、「なぜなら△△」という思いが必ず隠れています。もっと言えば、「△△」という理由があるからこそ、あなたは「◯◯」という一言を出すことができたのです。

 ただ、慣れていないと、「なぜ?」と自分に聞いても「なんとなく……」しか出てこないかもしれません。
 そういうときは紙に書き出してみましょう。頭の中だけで思考を完結させるのは至難の業です。なぜなら、頭の中は見えないからです。見えないものを取り扱い可能な状態にするためには、書き出して可視化する方法が有効なのです。

 だからまずは、「ざっくり一言」を紙に書いて、それを見つめます。そして、次に「なぜ?」と問いかけて、頭に浮かんだことをすばやく紙に書き留めます。すると、頭の中で当てずっぽうに飛び交っていた「なぜ?」の答えが姿を現します。見えないものが見えるようになることで、がぜん思考が深まりやすくなります。

【たとえば】は魔法のワード

「ざっくり一言」→「なぜ?」で、自分がその感想を抱いた理由がわかったら、今度はそこに「たとえば?」と投げかけます。
「たとえば」という言葉は、本書で詳しく説明していますが、実は、例を挙げるだけにとどまらず、自分の中から様々なことを想起させる魔法のワードなのです。

 このように「ざっくり一言」から、「なぜ?」と「たとえば?」を使って自問自答を繰り返すと、次の図のように自分の気持ちをどんどん掘り起こしていくことができます。

自分の意見や考えの「解像度」を上げるもっともシンプルな方法山口拓朗著「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」より

 *本記事は、山口拓朗著「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」から、抜粋・編集してまとめたものです。