PHOTO: CAM POLLACK/THE WALL STREET JOURNAL
米不動産投資信託(REIT)大手SLグリーン・リアルティが昨年6月にマンハッタンのオフィスビルの権益49.9%を売却したと発表したとき、同物件の評価額は約20億ドル(約2960億円)だった。これは米国のオフィス取引としては同年最大級の規模で、その日のうちに同REITの価格を約20%押し上げ、低迷するニューヨークのオフィス市場を活気づけた。
だが、この取引には注意事項があった。事情に詳しい関係者らによると、SLグリーンと複数の投資会社は、買い手である森トラストに同ビルの債権5億ドル超を約6%のディスカウントで売却することで合意していた。SLグリーンは決算報告書・決算説明会・プレスリリースでこれらの取引を公表していない。
この売却とディスカウントは、それほど大きな額ではないものの、20億ドルの評価額でこのビルに投資するという同意を森トラストから取り付ける上で重要だったと関係者は言う。