過激派組織の教本
『腹腹時計』

 過激派組織「東アジア反日武装戦線」を語る上で欠かせないのが『腹腹時計』という教本だ。

 これは、容疑者グループのリーダーである大道寺将司元死刑囚が執筆、彼らの思想や活動家としての心構えなどが書かれている。

『腹腹時計―都市ゲリラ兵士の読本―』の表紙と奥付『腹腹時計―都市ゲリラ兵士の読本―』の表紙と奥付 拡大画像表示

 出版の目的は思想・組織の拡大のためとみられている。

 腹腹時計に書かれているのは次のような内容だ(原文ママ)。

 まず、「はじめに」では、「今日、日本帝国に於いて、日帝を打倒せんと既に戦闘を開始しつつある武闘派の同志諸君と、戦闘の開始を決意しつつある潜在的同志諸君に対して、東アジア反日武装戦線“狼”は、『兵士読本 Vol.1』を送る。これは、武闘派同志諸君と共に東アジア反日武装戦線へ合流し、その強化をめざす為のものである」と始まる。

 続いて、「『兵士読本 Vol.1』 では、同志個人と武闘組織などに直接送られたが、潜在的同志諸君にも読まれるべく、特定の書店、出版社、救対組織などへも郵送された。従って、この関係の方々にあっては、可能な限りこれを公表されんことを切望する」と記載され、広く認知されることを期待していることが読み取れる。

 極左暴力集団は過去から現在に至るまで、思想・組織の拡大のツールの一つとして、機関紙などの媒体を用いた広報活動を行う。さらに近年では、特に中核派はYouTubeも効果的に活用し、オルグ(勧誘)を進めている。