リニューアル校が多い「国際」系と東京湾岸系

 ここから先はいくつかのくくりで、「弱気の学年」が志向する中堅・中位の共学校と女子校を見ていこう。共学校の場合、新型コロナ禍明けの23年入試で志願者数を大きく伸ばした学校が目に付く。24年に続伸できるか、22年水準に戻るか、それとも前年並みを維持するかも注目点である。

 女子校から共学化する際、校名に「国際」を冠したいまどきの人気校からまず見ていこう。新しい教育を掲げ、難度的にもハードルが低いことから人気の入試が多い。
 
 23年入試で最大の話題となった芝国際。21年の東京女子学園中学での志願者総数は40人弱だったが、これが芝国際となった23年は一挙に3000人を超えた。現状では300人ほど集まっている。これだけ起伏の激しい例はかつてなかった。入試方式も東京都市大学付属に倣ったII類とI類の区分から、24年は本科と国際ADVANCEDに変更されている。23年にはなかった偏差値も50台がついて、中堅校の仲間入りとなっている。
 
「国際」系では老舗の三田国際学園は、広尾学園の後に続くちょうどいいポジションにいるため受験生を集めやすい。29日現在、1日1回ICは22年の2.3倍に、他の入試回も多く23年超えが見えている。

 女子学院のすぐ近くにある千代田国際は、西東京市にある武蔵野大学と同じ大学の系列校で、共に新しい教育に熱心に取り組んでいる。両校とも23年に大きく伸ばしたため、前年並みを維持できるか。千代田国際は出願者の多い2日3回が注目される。武蔵野大学はおおむね前年実績を超えており、特に1日午後2回に勢いがある。
 
 母体を同じくするカトリック校のサレジアン国際学園サレジアン国際学園世田谷は、22年と23年に相次いで共学化、いずれも24年に続伸している。北区にあるサレジアン国際学園は1日1回の志願者数が前年比2倍増に迫る勢いで、他の入試回も大人気だ。目黒星美学園から校名変更したサレジアン国際学園世田谷の志願者数合計は6倍強になったが、24年は特に1日午後2回と2日午後特待生が人気を集めている。
 
 校名に「国際」は付いていないものの、昭島市にある啓明学園は国際色豊かな生徒が集まる学校で、1日午後の得意科目入試など、いずれの入試回も受けやすくて受かりやすい。
 
 タワーマンションの林立する東京湾岸に近い「東京湾岸系」の学校も男女別学から共学化したリニューアル校が多く、「弱気の学年」にも人気がある。豊洲にある芝浦工業大学附属は中学校に女子生徒を受け入れて4年目となる。23年は緩和、24年は2日午後の特色入試から衣替えした言語探究と英語が前年をすでに超えている。かえつ有明は志願者数500人超えの入試回もいくつかある人気校だが、前年並みを確保できるか。
  
 隅田川東岸の墨東エリアも湾岸系人気に浴している。やはり元男子校の安田学園は23年に大きく増やしており、24年も前年並みを確保、1日午前と午後で1000人超の応募がある人気は衰えていない。印象的なフォルムの校舎を持つ女子校の中村は、毎年志願者が増加基調で、24年も絶好調だ。特に2日一般と2日午後特待生は、前年比で5割前後大きく伸ばしている。
 
 湾岸系もう一校の女子校で、新校舎の整った品川女子学院は、23年に大きく増やしているため、前年実績にどこまで迫るか。同じ品川区にある青稜はなぜか22年から緩和気味だが、1日午後1回Bは前年実績に届きそうで、23年に691人が志願した2日午後2回Bに期待がかかる。近所にある品川翔英は23年に大きく緩和、24年もその流れが止まっていない。

 開智所沢の開校と2万円で5校の入試が受け放題となったことで大きく出願者を増やした開智グループの国際バカロレア(IB)校である開智日本橋学園は、23年に大きく減らしたが、24年は全体的に前年実績を超え、22年実績に迫っている。

 町田市にある玉川学園も同じくIB校だが、23年、24年と続伸基調にある。特に2日一般3回はすでに23年を超え、人気となっている。