「北区系」が体現するボリュームゾーンの勢い

 北区には中堅・中位の私立一貫校が意外と多い。隣接する板橋区や豊島区、荒川区含め、ここでは「北区系」としてくくり、中学受験生の裾野が広がったボリュームゾーンの勢いに触れてみたい。

 学校法人北里研究所と学校法人順天の法人統合に向けた基本合意の発表に、順天を順天堂大の付属校と取り違えて驚いた人も多かった。北里大の白金キャンパスには附属病院と薬学部があるものの、神奈川・相模原市にメインのキャンパスがあり、付属校となるにしても距離感がある。まだ将来の姿は判然としないものの、順天の2024年入試はどの回も増加基調で、とりわけ1日午後1回Bが前年より5割前後増えそうだ。

 東京成徳大学は全入試回が大きく伸ばしており、2日2回一般選抜などは22年比で3倍弱増の勢いだ。北区の共学校である成立学園武蔵野桜丘はいずれも前年並みとなりそうだ。他に駿台学園もある。女子校の女子聖学院瀧野川女子学園は23年実績には届かないかもしれない。隣の荒川区唯一の女子校である北豊島は、近年、海外大学合格実績も出し始めている。こちらは例年並みの出願状況だ。いずれも受けやすくて受かりやすい学校である。葛飾区にある共栄学園は好調で、1日1回はすでに23年比5割増しの志願状況となっている。

 豊島区の女子校である十文字は23年に大きく伸ばしており、前年実績にどこまで迫るか追い込みに入っている。24年も1日午後2回に最多の志願者が集まりそうだ。共学校の淑徳巣鴨は23年に少し減らしたが、24年は前年並みとなりそうだ。城西大学附属城西は23年も伸ばしたが24年も好調で、おおむね3割前後増えている。新設した5日午前も100人を超えそうだ。
 
 板橋区では、東京家政大学附属女子が算数や国語の1科入試を設けるなど工夫を凝らして前年並み確保を目指しているが届くか、という情勢にある。淑徳は23年の3日午後スーパー特進2回の424人を筆頭に300人台の入試回があるが、現状は前年に届くか微妙な情勢にある。帝京大学系属帝京は23年に伸ばしたが、24年も好調で、1日は午前・午後共に3割前後前年より伸ばしている。残る帝京大グループ2校は八王子市にあるが、帝京大学は1日1回が23年を上回った。帝京八王子はささやかながら増加している入試回もある。
 
 女子校でも、難関・上位校は理系に重点が移っている学校が目立つようになってきた。練馬区にある富士見も東京理科大と高大連携で積極的に活動するなどそうした学校の一つだが、23年は全体的に減らしており、どこまで22年実績まで戻せるか。すでに1日1回は23年を超えている。