近年、積水ハウスの業績をけん引するのは、大型ビルなどの開発事業と、高級マンションを開発するマンション事業だ。しかし両事業は、社内で“冷遇”されているとの声がある。特集『住宅メーカー最終決戦!戸建てバブル崩壊秒読み』(全6回)の最終回では、積水ハウスの社内序列を徹底解剖する。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
一等地をアグレッシブに攻める
積水ハウスの土地争奪策に驚き
「積水がアグレッシブに土地を高く買っている。しかも狙うのは一等地ばかり。どれも高値つかみではないのか」。ある不動産業界関係者は、近頃の積水ハウスの鼻息の荒さに舌を巻く。
積水ハウスが一等地を仕入れるのは、一戸建てのためではない。マンションやオフィスビルの開発用地としてである。
積水ハウスで近年、業績をけん引して注目を集めるのがマンション事業や開発事業だ。
マンション事業では、高級ブランド「グランドメゾン」を展開。横浜・山手地区で分譲した物件では、俳優の星野源さんを起用したCMを投入して大々的にPRした。
また東京・千鳥ヶ淵近くの旧九段坂病院跡地を取得し、19階建てのマンションを開発する予定だ。最低でも1戸当たり数億円は下らないといわれる超高級物件になる見通しで、業界が注目するプロジェクトだ。
これに対し、開発事業では、ホテル世界大手の米マリオット・インターナショナルが展開するラグジュアリーホテルを積極的に誘致。2021年に大阪中心部で「W大阪」を開業したほか、23年春に開業した福岡市中心部の再開発プロジェクト「福岡大名ガーデンシティ」を手掛けた。
次に控える大型プロジェクトは「赤坂二丁目計画」だ。積水ハウスは日本生命保険との共同事業として、東京・赤坂の通称「日商岩井ビル」の跡地で、高さ150メートル28階建ての大型オフィスビルを開発中で、24年6月の竣工を予定している。
近年、数々の華々しいプロジェクトを手掛けて業績を引っ張るマンション事業と開発事業ではあるが、社内では両事業が“冷遇”されているとの声がある。果たして、本当なのだろうか。
次ページでは、積水ハウス社内の残酷な「事業序列」を徹底解剖する。積水ハウス関係者の声を拾うと、両部門の謙虚過ぎるともいえる実情が浮かび上がった。