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今年1月から始まった新NISA。非課税投資枠が拡大、必要なときに引き出しても翌年に枠が復活するなど、使い勝手が良くなったこともあり関心が高まっています。ある日、家計相談にやってきた30代夫婦。「新NISAは早く上限まで入れた方がいい」と、今年に入って急に投資額を増やしたというのですが……。(家計再生コンサルタント 横山光昭)

新NISAに関する
家計相談が増えている

 最近の新NISAへの興味、関心の高さは、家計相談の場面でも感じます。年間投資枠や非課税保有限度額(総枠)が拡大したこと、制度が無期限で利用できるとなったこと、必要時に引き出しても翌年に枠が復活することなど、使い勝手が非常に良くなったため、積極的に取り組みたいと皆さん思われるようです。

 家計を見る立場からすると、条件がどんなに良くなっても、「家計から投資にあてられる金額は、生活費に使わない余剰金から」という考え方は変わりませんし、貯蓄の一部を投資に回していくにしても、しばらく使う予定のない余剰金をあてていくことで変わりません。そこを間違えると、非常に良くなったNISA制度も、失敗の元になりかねません。

昨年までつみたてNISAとiDeCoに
月7万円ずつ積み立てていた

「新NISAは早く上限まで入れたほうが良いという考え方を聞いたので、自分達も早く入れて将来に備えたい」と家計相談で話されるのは、昨年までつみたてNISAを毎月3万円、iDeCoを2万円していた会社員のAさん(37)。共働きで会社員の妻(35)にも勧め、妻もつみたてNISAを毎月1万円、iDeCoも月に1万円を積み立てており、世帯としては合計で7万円を非課税投資にあてていました。

 毎月7万円。昨年のこの投資額は、決して楽に捻出できていたわけではありません。1年ほどかけて支出を見直し、生活防衛資金を確保しながら少しずつ投資額を増やした結果です。家計状況は、投資に積み立てている金額を含めて収支トントン。安易に投資額を増やせる状況にはないのですが、様々な情報を見聞きしているうちに、2024年からのNISAは早く枠を埋めてしまったほうが有利に違いないと受け取られたようです。