把握可能感とは?

 まず「把握可能感」です。把握可能感は、自分の今いる環境がどのような状況にあるのか、今後どのようになるのかについて、ある程度理解できている、納得のいく説明がつけられるという感覚です。

「おおよそ想定の範囲内」「だいたいわかった」と思える感覚です。

 例えば、接客業の人が、お客様に突然怒鳴られたとします。「なんで怒鳴られたのかわからない」と戸惑う人は、落ち込んだり、不安になったりします。

 一方、「世の中には、自分の想像のつかない変わった人もいる」と状況を把握できる人や、「接客業をしていれば、お客様に怒鳴られることもある。まあたいしたことにならないだろう」とある程度予測できる人は、あまり落ち込まず、悩まないのではないでしょうか。

 こうした、「想定内」「予測がつく」「こんなもんだろう」「だいたいわかった」と思える感覚が把握可能感になります。

 この把握可能感は、ルールや規律、価値観、責任の所在などが明確な環境で経験を重ねることにより育まれるとされています。

 職場で言えば、就業規則や人事評価がきちんと整備されていて、「この仕事をここまでしたら評価される」「評価ポイントは3つあって、8割達成したら昇給する」というような見通しがつきやすい環境のことです。

 つまり「把握がしやすい環境」といえます。そのようなある程度把握しやすく、予測が可能な世界で、一貫性のある経験を繰り返すことで育まれるのが、把握可能感です。

『「なんとかなる」と思えるレッスン 首尾一貫感覚で心に余裕をつくる』P.43より転載『「なんとかなる」と思えるレッスン 首尾一貫感覚で心に余裕をつくる』P.43より転載 拡大画像表示

処理可能感とは?

 次に「処理可能感」です。処理可能感は、自分にふりかかるストレスや障害を、“資源”を活用することで「対処できる」「なんとかなる」と思うことのできる感覚です。この「資源」には、人脈や知力、お金、権力、地位などがあります。

 例えば、仕事で大きなアクシデントにあったときでも、「助けてください」と言える上司がいたり、慰めてくれてアドバイスをくれたりする同僚がいる場合は、「なんとかなる」と思えるものです。こうした人間関係・人脈が「資源」にあたります。