3つの感覚はお互いに補完し合う

 首尾一貫感覚を構成する3つの感覚は、それぞれが別々にあるわけではなく、お互いを補完し合うようにつながっています。

 アクシデントがあったり、つらい出来事があったりしても、「今、起きている出来事をだいたい理解できている、この先何が起きるか、ある程度予測がつく」と把握可能感をもつことができていれば、「(把握できている範囲で)なんとかなるだろう」という「処理可能感」をもつことができます。

『「なんとかなる」と思えるレッスン 首尾一貫感覚で心に余裕をつくる』P.47より転載『「なんとかなる」と思えるレッスン 首尾一貫感覚で心に余裕をつくる』P.47より転載 拡大画像表示

「処理可能感」は、人脈や知力、お金、権力、地位など困難を乗り越えるための「資源」を活用することでもつことのできる感覚ですが、こうした「資源」を実際に活用することで、現状を把握したり、今後の展開を予測することができ、「把握可能感」を高めることもできます。

 その一方で、「自分自身に起こる出来事はどんなことでも意味がある」という「有意味感」をもつことができれば、「この経験は、私の人生にとって大きな意味があるものになるだろう。だからなんとかしよう」といった「処理可能感」をもつことにつながります。

書影『「なんとかなる」と思えるレッスン 首尾一貫感覚で心に余裕をつくる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)『「なんとかなる」と思えるレッスン 首尾一貫感覚で心に余裕をつくる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
舟木彩乃 著

 例えば、重要な取引先を担当することになってストレスフルな状況で働いているとしても、「取引先の要求は大変だが筋は通っている。大変でも、この取引先の担当は1年間なので、何年も続くわけではない」と、ある程度現状や今後の成り行きを把握できれば(把握可能感)、「まあなんとかなるだろう」と思えるようになり(処理可能感)、少しは心に余裕がもてます。

 そして、「1年間この取引先を担当できれば、営業職として成長もできる」と意味を感じられれば(有意味感)、「あの取引先が納得できるような提案ができるように勉強しよう」と、把握可能感を高める行動に出ることができます。また「前任者である先輩にきいてみよう」と人脈を活用して「なんとかなるだろう」という気持ちにつなげることができます(処理可能感)。

 このように首尾一貫感覚を構成する3つの感覚は、お互いにつながっていて影響し合っているものなのです。