米国の対中貿易赤字は10年以上ぶりの水準に縮小した。一見するとこれは、ドナルド・トランプ前米大統領が2018年に中国からの輸入品に課した高関税の影響で、両国経済のデカップリング(切り離し)が進んでいるかに見える。トランプ氏は、大統領選で再選を果たしたら中国からの全輸入品に60%かそれ以上の関税を課す考えをちらつかせている。だが米国は、データが示唆するほどには中国から輸入する慣行を変えていない。中国や西側の製造業者は、関税を回避する方法をいくつも見つけた。関税が引き上げられたら、おそらくさらに知恵を絞るだろう。米商務省の7日の発表によると、23年の財の貿易赤字(速報値)は1兆1000億ドル(約163兆円)と、前年の1兆2000億ドルから縮小した。国内総生産(GDP)に占める割合は3.9%に低下し、ここ10年余りで最低となった。
米中デカップリング、本当に起きているのか
関税導入後も大きく変わっていない米中貿易、税率60%だとどうなるか
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