息切れやむくみ、体重増加…命に直結する心臓病「心不全」の初期症状、健康な人も要注意写真はイメージです Photo:PIXTA

少し歩いただけで呼吸が苦しくなる、足がむくんでいる、坂道を上ると胸が痛くなる…そんな症状があれば、心不全が疑われます。心臓病の中でも心不全は、社会の高齢化に伴い患者数が増加していて、特に注意が必要。心不全の原因疾患として最も多い「虚血性心不全」と「弁膜症」の専門医に、疾患の特徴や治療法、予防法などを伺いました。(取材・文/日本文章表現協会代表理事 西田延弘)

個別の疾患名ではなく
心臓機能が弱体化した症候群

 心不全とは心臓に何らかの異常が生じ、その結果ポンプ機能が低下して全身に十分な血液を送り出せなくなる状態のこと。全身に十分な量の血液を送り出せなくなると、肺など全身の臓器に血液が滞り、呼吸困難やむくみ、動悸(どうき)、疲労感など、さまざまな症状を引き起こします。

「テレビや新聞でよく目にする “心不全”という死亡原因は、個別の疾患名ではなく、さまざまな原因疾患が引き起こす心臓機能の弱化、つまり症候群を指します」

 こう説明するのは、関西医科大学病院准教授の藤井健一先生。心不全は、状態が安定しているかどうかによって、大きく二つに分類されます。心臓の機能が弱っているにもかかわらず、体全体のバランスが保たれ、状態が安定している場合を「慢性心不全」といい、その安定した状態が崩れてバランスが取れなくなり、急激に悪化した場合を「急性心不全」と呼びます。

 心臓の機能が弱る原因としては虚血性心疾患、高血圧、弁膜症、心筋症、不整脈などがあります。

「日本で入院して治療を行った心不全患者の原因疾患として最も多いのは虚血性心疾患で、次に多いのは高血圧、その次が弁膜症です。近年の食生活の欧米化に伴い、虚血性心疾患が原因となる割合は、年々上昇しています」

 虚血性心疾患は、冠動脈の血管壁にコレステロールなどがたまって動脈硬化が起こり、十分な血液を心臓に送れなくなってしまう疾患です。また、弁膜症は心臓にある4つの弁が十分に開かなくなったり、逆に閉じにくくなったりして血液をきちんと送れなくなってしまう疾患で、心筋症は心臓の筋肉が傷んでしまう疾患、不整脈は心臓の拍動のリズムが崩れてしまう疾患です。