吉野家Photo:Diamond

2020年に始まったコロナ禍による落ち込みを脱した日本経済。ただ、元通りになったわけではない。デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、円安や物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はゼンショーホールディングス、吉野家ホールディングス、松屋フーズホールディングスの「牛丼」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)

すき家、松屋が2割超の増収
牛丼並盛りは400円台維持

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の牛丼業界3社。対象期間は2023年8~12月期の四半期(ゼンショーホールディングス、松屋フーズホールディングスは23年10~12月、吉野家ホールディングスは23年9~11月)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・ゼンショーホールディングス(すき家)
 増収率:24.9%(四半期の売上高2542億円)
・吉野家ホールディングス
 増収率:10.0%(四半期の売上高472億円)
・松屋フーズホールディングス
 増収率:22.5%(四半期の売上高341億円)

 牛丼3社全てが2桁増収で、中でもゼンショーホールディングスは増収率24.9%という大幅増収だった。

 インフレで物価が上がっているが、各社の牛丼は並盛りで400円台を維持している。多くの飲食店が大幅な値上げに踏み切る中、「庶民の味方」を貫く牛丼業界の相対的な安さが際立つが、利益面を含む業績はどうなっているのか。

 次ページでは、各社の増収率の時系列推移を紹介するとともに、利益面も見ていく。