日本M&AセンターPhoto by Yasuo Katatae

M&A仲介業界最大手の日本M&Aセンター社長に、竹内直樹取締役戦略本部長が就任することが発表された。業界関係者からは、竹内氏の社長就任によって、同社がここ数年抱えているリスクが再燃するという声が上がっている。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

「絶対王者」日本M&Aセンター
現社長の右腕・竹内直樹取締役が社長就任へ

 中小企業のM&A(合併・買収)仲介業界最大手の日本M&Aセンターホールディング(HD)の中核子会社、日本M&Aセンターの社長に、2024年4月1日付で竹内直樹取締役戦略本部長が就任することが発表された。

 日本M&Aセンターは、中小企業のM&A仲介業で同業他社を圧倒する「絶対王者」だ。同社は組織全体に浸透した強い成長意欲と猛烈な営業攻勢が特徴で、10年3月期にわずか36億円だった連結売上高は、23年3月期には413億円まで急成長している。

 次期社長の竹内氏は、苛烈な債権回収手法で社会問題となったSFCGで、執行役員東京営業本部長にまで上り詰めた人物。突破力と営業力を武器に、三宅社長が描く成長軌道を忠実に実現してきた右腕だと言われる。

 そう聞くと、日本M&Aセンターは業界トップとして盤石な状況が続くと考えるだろう。だが、ある関係者は竹内氏の社長就任によって「リスクが再燃し、競合他社にとってチャンスだ」と話す。背景にあるのは、21年12月に発覚し、同社を揺るがした不正会計だという。

 一体どういうことか。次ページでは毀誉褒貶の激しい竹内氏の実績を振り返りながら、解説していく。