日本M&Aセンター 砂上の「絶対王者」 #6Photo by Yoshihisa Wada

日本M&Aセンターホールディングスを率いる三宅卓社長。不適切会計に対する責任や社員への処分、それをきっかけに大量の退職者が出ていることをどう考えているのか。特集『日本M&Aセンター 砂上の「絶対王者」』(全6回)の最終回では、M&A仲介「絶対王者」の頂点に立つ男に、本音を聞いた。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

「絶対王者」を率いる三宅社長
不適切会計にどうけじめをつけるか

――2021年12月に発覚した売上高の不適切な計上について、今どのように捉えていますか。認識を教えてください。

 上場企業は適切な会計を行い、適切にディスクローズしなければならない。それができるガバナンス体制とコンプライアンス体制をつくっておかなければならないことが、大前提としてあると思います。

 そういう中で今回、現場レベルで多くの不適切会計が行われていたことに、私自身は非常に大きなショックを感じています。

 そもそも公正であることに関し、私は非常にプライオリティーを置いてきました。公私混同であるとか、社内の倫理であるとか、そういったことに対してかなり規律を重んじてきたつもりです。会計においても、経費の精算などは厳格にチェックし、指導してきたつもりでした。

 ところが今回、現場レベルで不適切会計が一つや二つではなく、たくさん起こっていた。このことに大きなショックを受けました。

 それが一人や二人ではなく、全社的に行われていました。われわれ経営陣が、会社をそういった文化にしてしまった、そうせざるを得ないような状況をつくり出していたことについては、深く反省しています。

――調査報告書の作成に関わったのは、外部の弁護士が2人、公認会計士が2人、それに加えて社外取締役が2人です。この選定はどのように行ったのでしょうか。

 まず弁護士の選定をどうするか、取締役会でいろいろと議論しました。その際、一つは可能なら22年1月の決算発表に間に合わせたいということ。最悪でも2月14日には決算発表を行いたいと考えました。調査報告書を出さないと決算できませんので、間に合わせたいと考えてスピードを重視しました。

不適切会計が発覚して以来、日本M&Aセンターホールディングス(HD)社内では動揺が広がっている。取締役は降格と報酬減額という処分だった一方で、関わった社員に対しては諭旨解雇を含む厳しい懲戒処分が下され、その差に納得できない社員の間では、現経営陣に対する不信感も高まっている。砂上に立つ「絶対王者」の日本M&AセンターHDを、三宅社長はどうかじ取りするつもりなのか。次ページで、本音を聞いた。