「自力整体」とは、整体プロの技法を自分におこなう人気メソッドです。「久しぶりにぐっすり眠れた」「10年間苦しんできた慢性痛から解放された」「脊柱管狭窄症の診断を受けたが、痛みが和らぎ手術を回避できた!」「健康的にダイエットできた」「更年期の不調が消えた」など、多くの声が寄せられています。
現在、国内・海外で約15,000名が実践。鍼灸、整体、ヨガを構成した動きで、痛み、コリ、冷え、疲労、不眠、便秘、不定愁訴を解消します。
今回、3分以内で痛みや不調を解決するワークを集めた『すぐできる自力整体』が発売。症状別の「悩み解決ワーク」のほか、じっくりほぐして骨盤調整もできる「4つのコース(動画つき)」を収録。著者の矢上真理恵さんは、「不調のほとんどは自力整体で解消できる」と語ります。
本書や既刊『すごい自力整体』より一部を抜粋・編集し、その中身を紹介しましょう。
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
(写真/榊智朗 構成/依田則子)
何をやっても、なかなか熟睡できない時は?
教室でおこなう「自力整体」90分間のレッスンは、寝そべりながら全身をゆるめる動きがメイン。体がほぐれ、とても眠くなるため、レッスン途中で、寝息が聞こえるのはよくある光景です。
生徒さんの多くは、自力整体をおこなった夜は熟睡できて、とくに夜中のトイレの回数が減ったり、朝まで一度も目覚めなかったという声は多いのです。
自力整体で全身脱力すると、休息モードの副交感神経がはたらき体はリラックス。すると末端まで血液が流れ、冷えていた体が温まって、熟睡できるというわけです。
それでもたまに「なかなか熟睡できません! どうしたらよいでしょうか?」という質問をいただきます。
そんな時は、「部屋をうす暗くして、裸眼で過ごしてくださいね」とアドバイスします。
家の照明を落とし、メガネやコンタクトレンズは外して目を休めます。もちろん、状況に合わせ、できる範囲でOK。これだけで、睡眠の質は変わります。
なかなか熟睡できない夜におすすめ「3つの習慣」
目を休めると熟睡できるのは、乱れた自律神経が正常になり、副交感神経が優位になるからです。まとめると、なかなか熟睡できない夜は「3つの習慣」がおすすめです。
① 夜、部屋をうす暗くして過ごす(照明を落とす)
② 家ではメガネやコンタクトレンズは外し、裸眼で過ごす(状況に合わせ、できる範囲でOK)
③ 寝る前、自力整体で体をほぐす
熟睡できて、疲れもスッキリとれるはずです。
なぜ目を休めると熟睡できるのか? ちょっと不思議ですよね。理由は次のとおりです。
「目」やその周辺は、たくさんの経絡の通り道
東洋医学をベースとする自力整体では、目の疲れは、体全体の「経絡(けいらく)」の流れに影響すると考えます。経絡とは、体中をめぐる川の流れのようなもの。
体には12本の経絡が流れると言われています。経絡のどこかが渋滞すると、体全体の血流が悪化。痛み、不調、熟睡できないといった不快症状が現れやすくなります。
とくに「目」やその周辺は、たくさんの経絡の通り道。目の疲れは、何本もの経絡が渋滞している状態です。ですから、目を休めることで血流は改善。体全体はラクになるというわけです。
とくに、目頭からはじまる経絡「膀胱経(ぼうこうけい)」は、骨盤まわりにつながっています。目を休めると、骨盤まわりの関節や筋肉の緊張までほぐれます。こうして全身の血行がよくなり、睡眠の質が変わります。
昔の女性も生理中や出産後、目を休めていた
女性の場合、目を休める習慣は、日本古来の健康法として、昔からあるものでした。
ひと昔前の日本には、生理中や出産直後の女性が過ごす産屋(うぶや)という、うす暗い部屋がありました。うす暗がりで過ごし、目を休ませるのです。
これは目を休めることで、月経や出産で開ききった骨盤を、ゆっくり元の状態へ戻すのが目的。そして、ぐっすり眠ることで、体調を回復させる知恵でもありました。
一日の終わりに目を休めるだけでも、睡眠の質は変わります。眠りが浅い方は、ぜひ今夜から、「3つの習慣」をお試しください。
今回は、眼精疲労の改善に役立つ「眼精疲労のツボ押し」のワークを紹介しましょう。
ピントを合わせる「毛様体筋」の緊張もほぐすので、視力低下の予防にも役立ちます。
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約15,000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』(ダイヤモンド社)がある。
監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)写真右
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約15,000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。 写真/榊智朗