職場では、「人としての信頼」だけではダメ

「一緒に働きたい」と思われる人(4)は、「自分を客観視できる」人です。

 仕事が忙しくて心に余裕がないときなどはとくに、自分の視点からしかものを見ることができず、自己中心的な言葉に走ってしまいがちです。

 焦りまくっている自分に気づかず、知らず知らずのうちに些細なことでイライラしたり、つい声を荒らげたりと、自分の言動をコントロールできなくなる人が少なくありません。

 では、自分で「焦ってイライラしている自分」に気づけたとしたらどうでしょうか。

 きっと、「今、自分は冷静さを失っているから落ち着こう」という発想になって感情が安定し、その場の空気を悪くすることもないでしょう。

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 そのためのテクニックとしてぜひ知っておいてほしいのが、ビジネスの現場でも見聞きする「メタ認知」です。メタ認知とは、「自分の行動や感情などを客観的に認知する(観察する)」こと。

「ああ、今の自分は理不尽な同僚の態度に対して、カッとして腹を立てているな」「ああ、今の自分はプレゼンを前にしてガチガチに緊張しているな」のように、今の自分の姿をもう1人の自分が高いところから冷静に観察しているような状態です。

 メタ認知能力が高いと、周囲の環境や他者の言動、自分の感情や思い込みなどに流されずに落ち着いて行動を選択できるようになります。

(5)の「自ら率先して行動する」についてはどうでしょうか。

 職場で信頼され、一緒に仕事をしたいと慕われている人たちには「自ら率先して動く積極性がある」という共通点があります。

 人は、普段から何事にも積極的な姿勢で向き合っている人を見て、「よく頑張っている」「成長が期待できる」「頼もしい」といった評価をします。人は、積極的に質問や相談を持ち掛けられば、その姿勢に応えて熱心にできる限りのことを教えてあげたくなります。

 常に自分のほうから働きかける。そうした姿勢で行動していると、周囲の人が“味方”になってくれます。それが「一緒に仕事をしたい。同じ職場で働きたい」という信頼につながっていくのです。

(6)は、「人の長所を見つけようとする」です。

 人の長所(=いいところ)を知れば、その人に対する尊敬の念が生まれます。そうすれば、お互いの関係性がよくなって、仕事も一緒にしやすくなるでしょう。

 とはいえ、苦手意識がある相手だとどうしても「悪いところ」ばかりが目についてしまい、いいところにはなかなか気づけないもの。

 だからこそ、とくに苦手と感じている人に対しては、「意識的に、積極的に、いいところを探す姿勢」が必要になるのです。

 自分の長所をきちんと評価されて不愉快になる人はいません。また、自分が重要な存在だと認められたいという思い(自己の重要感)を満たしてくれる相手には好印象を抱くもの。長所を見つけたら、言葉にして伝える。そうすることで、お互いの心理的なハードルが下がり、関係性が好転するきっかけにもなるでしょう。

 最後の(7)は、「仕事の成果にこだわる」人です。

 職場における信頼には、「人としての信頼」と「仕事における信頼」の2つがあります。職場とは、あくまでも「仕事をする場所」です。そのため「人としての信頼」だけがあればうまくいくプライベートとは違って、職場の人間関係には「仕事における成果」というもうひとつの大きな要素が加わってきます。

 成果を出すための基本ポイントは、「仕事の質」と「納期の厳守」です。

 「成果を出して業績に貢献する」という大命題を課せられている職場では、人としてだけでなく、「仕事でしっかり成果を出す」という2つの信頼の両立が求められるのです。

 さまざまな価値観を持った人が集まる職場において、「『一緒に働きたいと思われる人』になる」とは、こうした7つの基本姿勢を意識し、周囲と信頼関係を築くということなのです。

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